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新聞が、戦力外通告、契約更改、移籍など、プロ野球やJリーグに所属する選手たちの動静を連日、報道している。毎年繰り返される選手たちによる喜怒哀楽。その中にあって、同年配の中山雅史と山崎武司の喜びは少し違った。
J1のジュビロ磐田一筋だった元日本代表の中山は42歳。今季末、戦力外通告を受けた。だが、現役続行を希望し、J2のコンサドーレ札幌への移籍が決まった。一方の山崎は来期42歳を迎える。2004年に一度クビを宣告されるが、今季、楽天のクライマックス・シリーズ進出に貢献。2億5千万円プラス出来高の2年契約を楽天と結んだ。大ベテランの契約を参考に、プロ野球とJリーグの将来について考察する。

プロ野球は現在、12球団で組成。球団支配下の選手総数は約800名。プロ野球選手会によると、選手寿命は約10年。毎年70~80名が引退し、ほぼ同数の新人が入団する。だから、40歳を超えた山崎は例外的存在だ。
Jリーグのクラブ数はJ1とJ2それぞれ18、合計36。Jリーグキャリアサポートセンターによれば、選手登録数は約1,000名。毎年約130名が加入し、同数が登録を抹消される。登録抹消(Jリーグ引退)の平均年齢が26歳。20代の引退が70%を占める。そんな環境の中での中山の現役続行は、山崎以上に珍しい。
ほぼ同じ年齢の山崎と中山だが、プロ野球とJリーガーの年俸になると格差が歴然としている。年俸1億円以上をスポーツエリートの証しの一つとするならば、プロ野球は71名。およそ10人に1人が超エリート。一方、Jリーグは10名。約100人に1人だから、サッカー選手が1億円プレーヤーになることはまさに至難の業といえる。

かかる環境の下で、プロ野球がMLBの経営水準に近付くには、全国市場での権利の一括管理は避けて通れない。 そのためには、逆説的だが、プロ野球は1億円プレーヤーをもっと増やす施策を講じるべきである。プロ野球は50年以上にわたって12球団による2リーグ制を維持している。年間の観客動員数は約2,500万人。微増が続いている。各球団が全国市場での権利処理を競合しながら行う現下のシステムでは、全国市場からの収入は増えない。
むしろ、テレビ視聴率低下に伴い収入減が予想されるので、球団経営はチケット販売に大きく依存することになる。しかし、それではMLBに半永久的に近付けないし、阪神と巨人以外の球団の黒字も実現しない。だからといって、権利の一括管理がすぐに実現するとも思えない。 だからこそ、MLB選手並みとは言わないまでも、年俸額を引き上げ、1億円プレーヤーを増やすべきなのだ。なぜなら、高い選手年俸を賄い、球団経営を黒字にするには全国市場で現金化できる権利の一括管理が不可欠だと大多数の球団経営者が認知することが大事だからである。その意味で、経営的に矛盾するかも知れないが、選手会がもっと強くなることが重要なポイントのように思える。

一方、Jリーグは最低年俸を設定し、その額を徐々に引き上げる方策を取るべきだ。その実現のために、Jリーグ加盟クラブの拡大策を一時中断して各クラブの収支を整えることを優先することを勧める。Jリーグ選手協会によれば、選手契約はABCに区分される。新人や実績のない選手はC契約からスタート。A契約だと最低でも480万円、上限はなしだが、C契約とB契約の基本給は480万円で、最低年俸の設定はない。
したがって、経営の苦しいJ2のクラブに属するC契約やB契約の選手の中には、J2より下部組織のJFLに参加する企業クラブの選手(社員)よりも年俸が低い例が続出する。これでは、Jリーガーが子供やアマチュア選手に「夢」を与える存在から懸け離れかねない。だから、Jリーグでは1億円プレーヤーを増やすよりも、最低年俸の設定と引き上げが急務の策といえる。

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下記は、掲題、フジサンケイ ビジネスアイ記事のオリジナル原稿。 

今年のプロ野球は、監督の契約延長(正確には、終了する契約を延長するか否かの)問題にも注目が集まった。監督の契約にかかわるゴタゴタは毎年起きているが、今年は主役がファンに人気の高いバレンタイン氏とメディア受けの良い野村克也氏だったために、グランド外の戦いとしてメディアを賑わした。
この場合、メディア露出の多い方が有利になる。日ごろメディアとの接触が多く、ファンからの同情を受けやすい監督が善玉で、寡黙を貫き通す球団(経営者)が悪役に回るのが一般的だ。だが、沈黙はもはや経営者の美徳ではない。

諺に、「沈黙は金なり」がある。昔の親父は無口だった。子供がダダをこねると、決まって、黙ってげんこつをくらわすのが普通だった。今はそうはいかない。価値観が多様化した現代は、無言は通用しない。逆に重大な発表をする時、不祥事が起った時、または、関係者の意見が食い違ったとき、など、組織や企業のトップが積極的に説明を試みることが重要となった。つまり、スポークスマンの機能が不可欠の世の中になったのだ。
典型的な例が米国だ。人種と言語が錯綜しており、無口では相手に絶対に意思が伝わらない。だから、国家的一大事では、大統領がテレビやラジオを通じて国民に意とする所を伝えるし、プロスポーツリーグの場合、コミッショナーがメディアに向かって頻繁にメッセージを発信する。スポークスマンの重要性を良く理解しているからこそ、彼らはカメラの前に立ちマイクに向かうのだ。
ところが日本では、トップがスポークスマンの役割を演じる組織や企業は極めて少ない。逆に、重大事にトップが下がる有様を見かけることが多い。それでは、世間から磐石の信頼を得ることはできない。

われわれが神から授かった意思の伝達手段は、「話す」と「書く」の2通りしかない。赤ちゃんが「泣く」のは話すことができないからであり、「暴力」を振るうのは話す力と書く力の乏しいかわいそうな人の最後の手段なのだ。現在、組織や企業のトップは3つの役割を果たす必要があると言われる。意思決定、リーダーシップ、スポークスマンである。内、最適な意思決定をタイムリーに行うことが最も重要である。そのため、組織や企業のトップは正確な情報を必要としており、彼らは誰よりも多く、且つ、精度の高い情報が集まる仕組みを構築している。だから、組織や企業の中で最も事情通であるトップが内外に向かって情報を発信するのが最も自然な形である。また、信頼と言う観点からも、トップが消費者、相手先、ファンに(メディアを通じて)直接メッセージを発信するのが最も説得力があるのは言うまでもない。

ところが、実際はそうなっていない。たとえば、私がパーソナリティを務めるラジオ番組の「Catch the Sports!」。その中に電話インタビューのコーナーがあるが、スタッフが広報を通じて社長や会長(場合によっては担当役員)に出演依頼をすると、10人中9人はお断りの返事。時には、広報担当者が即座に「無理です」と返答するそうだ。広報の心得違いに驚くことも多いと聞く。
最も信用の高いトップが、自社の新製品や売れ筋商品の特徴を製品開発のエピソードを交えながら消費者(リスナー)に直接伝える機会があるのに、その機会を握り潰す広報担当の間違った判断を許すトップも反省をする必要がある。社長や会長などの組織や企業のトップがメディアから逃げる組織や企業の将来は決してばら色ではない。トップは良いスポークスマンであらねばならない。今年のプロ野球は、トップのメディアへの積極的語りかけが消費者やファンの心を掴む有効な手段であることを改めて教えてくれた。

 

 

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下記は、掲題のオリジナル原稿。「補助金縮減をバネに収入増加を図ろう!」

行政刷新会議の「事業仕分け」で、JOC(日本オリンピック委員会)に対する補助金が縮減の対象になった。補助金の減少は選手強化に支障が出る、とJOCやスポーツ選手から反対の声が上がった。JOCの09年度事業予算は約87億円。80億円前後に減少する可能性がでてきた。参考までだが、米国オリンピック委員会の08年事業経費は約2億3千万ドル(約200億円)。人口と経済力を基に比較すると日米の差は殆んど無いに等しい。だから、両国がオリンピックで獲得するメダルの数の違いが、両国オリンピック委員会の予算の大小に起因することではないことは確かだ。

不幸なことだが、日本のスポーツ団体が「アマチュア」を歪めて解釈しているように思えてならない。たとえば、日本学生野球憲章。現在、憲章の条文の改正作業が進行中。最近、第2次案がでた。その前文で、「学生野球は経済的な対価を求めない心身修練の場である」と定義している。「学生野球=アマチュア」は自明の理。改めて確認する必要はない。 

産業革命が起り、労働を機械に取って代わられ、時間がたっぷりあるイギリスの富裕層が、スポーツに関る諸費用を自己負担できる自分たちを「アマチュア」と規定した。彼らは、ゴルフ・テニス・ラグビー・サッカーのルールを定め、クラブを組成して、会員以外をスポーツの仲間から排除した。富裕層はスポーツを貧乏な労働者との差別化に利用したのだ。アマチュアの精神は近代オリンピックで昇華し、「経済的な対価を求める」プロ選手を長年に亘って国際舞台から排斥した。
この「アマチュア精神」に最も忠実だったのが日本のスポーツ団体だった。しかも、彼らは、選手だけではなく、自らも経済的対価を求めてはいけないと解釈したのだ。したがって、日本のスポーツ選手は、学生である間は保護者から、また、社会人になってからは企業からの、経済的援助がなければ続けることができない。たとえば、大学の本格的運動部。部員はグランドの近くの寮に入居し、毎日遅くまで練習を繰り返している。学校から施設に対する補助があるものの、寮費や食事代、遠征費や合宿代を合計すると、保護者の負担は相当な額に達するそうだ。正に、金持ちの保護者を持たない学生は本格的な部活に参加できないのが実情だ。企業の運動部も同じ。運動部員の給料、練習のためのグランドや体育館の確保、選手の遠征費用、応援のための試合チケット購入、等、運動部維持に金銭的に耐えられる企業だけが運動部を保有できるし、業績悪化と共に運動部が休部や廃部に追い込まれることにもなる。

プロスポーツでも、リーグ(=コミッショナー事務局)は非営利団体。米国の4大プロリーグのコミッショナー事務局は全国と世界市場から莫大な収入を吸い上げて各球団に配分している。米国大学体育協会は4大プロリーグの総収入に匹敵する収入を得て、各大学に還元している。米国スポーツ界は、プロ同様、アマチュア組織も大いに稼ぎ、組織に還元する仕組みを構築している。そのため、スポーツ産業が推定で30兆円の規模になっており、選手層が厚くて競争も激しいので、オリンピックで活躍する選手の数が桁違いに多いのだ。

非営利団体が「収入を得てはいけない」と規定している国は世界中どこにもない。JOCはもっと収入を上る潜在的力がある。高野連は春と夏の全国的熱狂を充実した奨学金制度に変えることができるし、大学ラグビーは芝生のグランドを増やすことが可能だ。岸記念体育館に事務所を構えるスポーツ団体も高校野球や大学ラグビーに負けずに、テレビ・マーチャンダイジング・スポンサーシップの権利を現金化する努力をしてはどうだろう。

補助金縮減反対にエネルギーを費やすより、この機会を捉え、JOCと各スポーツ団体が、自ら収入を得て、スポーツ団体間で選手強化を競い合う体制を作る方が賢明と考える。

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