以下は、掲題のオリジナル原稿。「がんばれ! Jリーグ」
Jリーグ(リーグ)は、11月17日の理事会で、資金難に陥っていた大分トリニータ(大分)に対して、2005年に創設した公式試合安定開催基金(基金)から3億5千万円の融資を行い、更に、来年1月末をめどに、2億5千万円の追加融資を行うことを決定。基金残高約10億円の内、約60%を融通する。大分の資金繰りが非常事態だったことを窺わせる。リーグによると、大分は、今季に入り成績低迷に伴う入場者減や人件費高騰などで借金が一気に膨らみ、累積赤字が約11億円、債務超過は5億6千万円に達した。2010年1月末の借入金を約12億円と推定している、と言う。
大分が自転車操業的運営手法ゆえに資金難の実情を見抜けなかったとリーグは釈明しているが、リーグの見解に納得できない。なぜなら、リーグが公表しているクラブ情報によれば、06年に大分の累積赤字は11億6千万円、債務超過が7億3千万円だったからだ。06年より前から大分の経営は破綻状態であり、その頃から既に資金繰りが悪化していたことは誰でも容易に推測できる。リーグが大分の決算内容を詳細に吟味せずに、対応を放置していたことは明白。
リーグ全体も恐ろしい状況になっている。08年度の経営情報によると、J1(18クラブ)とJ2(15クラブ)の累積赤字が117億8千万円、資本金の合計が161億8千万円だから、債務超過になるまでに44億円しか残っていない。ところが、08年決算で、コンサドーレ札幌が約18億円、ベガルタ仙台が約19億円の減資を行っており、札幌と仙台の出資会社が減損処理に踏み切らなかったならば、リーグ全体の決算は、危機的状況に陥っていたと推察される。
大分・札幌・仙台は例外ではない。多くのクラブが厳しい経営環境に直面している。現在、リーグが全国市場、即ち、テレビ・マーチャンダイジング・スポンサーシップの現金化から得た収入はリーグの経費その他を控除後、各クラブに分配される。だが、リーグからの分配金はクラブ収入の10%に過ぎない。だから、クラブはクラブ運営費の残り90%をチケット販売とスタジアムの物品販売で賄わなければならない。その国、特にヨーロッパのサッカークラブではありえない構造となっている。そこで、クラブは出資会社を中心とする広告料獲得とホームタウンでのマーチャンダイジング商品販売に力を入れることになる。しかし、資金力のある会社が出資するクラブは何とか収支を整えることが可能だが、資金力の乏しい地元の自治体や企業に支援を仰ぐクラブは収入不足に陥ることになる。
悪いことに、10年に入ると更に環境が悪化すると予想される。なぜなら、企業のスポーツ関連広告予算が、2月のバンクーバー・オリンピックと8月のワールドカップ(W杯)に振り分けられ、リーグ向け予算が削減される可能性が高いからだ。W杯出場のために存在するとも言えるリーグが、W杯のために存続の危機に晒されそうな事態になるのは皮肉なことだ。
リーグのビジネスが低迷する一因は、リーグの人気が、ホームタウンを中心とするサッカーファンに磐石な形で根付く前に日本代表に移ったことにある。ヨーロッパと違い、リーグの歴史が浅かったためだが、今は仕切り直しが必要だ。リーグの窮状を救うには、ドイツのサッカー協会とブンデスリーガが放送権利料を一括管理するように、リーグと日本サッカー協会もテレビ・マーチャンダイジング・スポンサーシップの全国市場でのビジネスを統合するのも一案である。同時に、各クラブが、累積赤字が解消されるまで、リーグ関連の直接経費を除く、ユースや女子の育成費用などの間接経費を抑制することもやむを得ない方策だと考える。







