リーマン・ショックから1年が経過した。世界の主要国が危機克服のために歩調をそろえることに合意し、経済構造の「チェンジ」に挑む流れになった。その一環として、日本には内需拡大と輸出依存の低下が期待されている。
内需拡大策の一つにスポーツ産業の育成がある。米国では、プロと大学のスポーツの周りを関連企業や大衆が20兆円以上の消費を行っている。英国でも、サッカーのプレミアリーグ設立の1992~93年のシーズン以来、スタジアムに累積で25億ポンド(約3,600億円)を上回る金額が投下された。このように、米国や英国では、スポーツが牽引役となって経済の規模拡大に大きく寄与している。
一方、日本のスポーツ関連消費額は、米国の手法に従うと、1兆円程度の規模にしか積み上がらない。国内総生産(GDP)比較に準ずると、日本のスポーツ産業は現在の10倍の10兆円規模で米国と比肩する。日本のスポーツ関連事業の高い潜在的成長性は明白。日本は、政治手法のみならず、スポーツ産業の拡大についても、米国や英国に学ぶ点が多いようだ。
10月3日開幕のbjリーグは、2005年に産声をあげた日本初のプロバスケットボールリーグだ。最初6チームでスタートしたが、毎年チーム数を増やし、今シーズンは13チームで戦う。バスケットボールは各チーム選手5人がコートの上で試合を行うので、チームの傘下選手は12人前後で足りる。チームの平均収入が140億円を超す、本場米国のプロバスケットボール(NBA)とは比較にならないが、bjリーグのチームは、3億~4億円の収入があれば収支が整う。だから、大都市でなくても、1万人を収容できるアリーナがあれば、中規模の都市でもフランチャイズになれる。
アリーナの収容人員は、競技の性格上、1~1.5万人が適正。だから、NBA同様、年間のホーム数を41、そして、平均観客席占拠を90%と仮定しても、チーム当りの観客動員力は50万人程度に過ぎない。米プロフットボールのNFLのように全国放送のテレビ視聴率がずば抜けて高い場合は別だが、年間50万人程度の観客動員では、チームの数が少ないと大きな経済効果が望めない。
だから、bjリーグは今後とも毎年平均2チーム増やし、リーグ開始から25年たてば、都道府県に必ず1チームを保有する組織体になるべし、というのが私が提案する「25年構想」である。
もちろん、構想の実現には幾つかの前提が必要となる。第1は、1万人以上収容できるアリーナの存在である。第2は、自治体がアリーナ建設の役割を担うことである。第3は、地域住民の税負担容認である。
重要なのは、フランチャイズの住民に美術館や博物館と同じく、チームとアリーナを「文化的公共財」と認知してもらい、それらの存在を誇りに思ってもらうことだ。同時に、毎年50万人規模のバスケットボールファンがアリーナ内外でチケット代金の倍、または、それ以上の金額を消費することを踏まえ、アリーナ建設費相当額を40~50年の長期的視点に立って、税収で相殺するとの考え方を自治体に醸成してもらうことが肝要である。







