アメリカプロフットボールのNFL (National Football League)は「戦力の均衡」(Competitive Balance)に最も拘るリーグの1つです。その戦力の均衡を制度の面から実現に近づけようとするのが、「球団収入の均等化」と「球団支出の平準化」です。
球団収入の均等化では、コミッショナーが重要な役割を演じます。現在、球団は保有する権利を現金化することによって収入を得ています。保有する権利は、大きく分けると、チケットの販売、球場内の物品販売、テレビ・ラジオの放送権利料、マーチャンダイジング(商品化)のロイヤルティ収入、スポンサーシップ料の5つです。内、チケットと球場内販売の顧客の大半はフランチャイズ地域に住んでいますので、球団は「売り手市場」の下で独占的商行為が可能です。当然、ここの部分では、球団収入の均等化は起こりません。
残り3つの権利、即ち、テレビ・マーチャンダイジング・スポンサーシップの商行為はフランチャイズ地域のみならず全国市場で展開できます。この場合、各球団が個別に販売活動を行うことは極めて非合理的です。効率がよくありません。1人に任せる方が遥かに効率的です。そこで、アメリカのプロリーグはコミッショナーに全国市場でのビジネス展開を委ねています。コミッショナーが稼ぐ収入は、経費控除後、原則、各球団に均等に配分されますので、コミッショナーの働きに応じて、球団収入の均等化が進む仕組みになっています。
球団支出の平準化で最も有効な施策が「サラリーキャップ」です。サラリーキャップは球団が選手に支払う最大報酬額を意味します。リーグと球団が稼ぐであろう総収入を総球団数で割った額に、選手への配分比率(約60%)を乗じた金額がサラリーキャップです。サラリーキャップが実施されますと力のある選手を分散させることができます。有力選手をお金の力で全ての球団に平均して配置させることで球団の戦力を拮抗させようと言うものです。
仕組みは簡単ですが、実際の運用は極めて複雑です。現在、サラリーキャップを導入しているリーグは、NBA・NFL・NHLです。3つのリーグ(実はサラリーキャップを導入していないMLBも併せ4リーグ全て)が2011年に現行の団体労働協約の期間が終了します。サラリーキャップが労使交渉の争点の1つになるのは避けられません。







