ヨーロッパのクラブの中で、通算の国外対戦勝率1位がレアル・マドリード、2位がバルセロナと言われています。スペインの2つのクラブは、ヨーロッパで圧倒的な強さを誇っていることになります。そうなると、この2つのクラブに属する選手が中心になって組成されるスペイン代表は強いはずですが、不思議なことに、スペインはワールドカップで1度も優勝したことがありません。
レアルとバルサは宿命のライバルとよく言われますが、なぜでしょう?
バルセロナは、スペインの北部、地中海側に位置するカタルーニャ州の中心都市です。カタルーニャ州の面積は関東地方と同程度。人口は約630万人(スペインの全人口は約4,300万人)です。
カタルーニャ州は、1930年に、時の共和国政権の下で自治制度が許されました。しかし、1936年、フランコ将軍率いる人民戦線と共和国政権との間で内乱が起きました。1939年、レアル・マドリードの大ファンだったフランコ将軍は、共和国政権に味方するバルセロナ(カタルーニャ州)を制圧します。
以降、フランコ将軍が死ぬ1975年までカタルーニャ州は抑圧を受けました。
だから、カタルーニャ州のカスティ-リャ州(マドリードが中心都市)への対抗意識は強烈です。バルサとレアルの対戦は両州の代理戦争の様相を呈することになります。
両州の喧嘩を肩代りするバルサとレアルの選手の仲が良いはずがありません。両クラブから主力選手を代表チームに召集しても融和するのは困難です。スペインの悲しい歴史がスペイン代表の弱点を作り出しています。
It is no use crying over spilt milk.
レアル・マドリードのフロレンティノ・ペレス会長が動きました。イタリアのACミランに在籍していた「カカ」を獲得。移籍金は約92億円。更には、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドに所属する「ロナウド」をも獲得。移籍金は史上最高の約129億円。二人の移籍金合計は約220億円です。
レアルの2006-07シーズンの収入は3.51億ユーロ(約490億円)で、サッカー界最高を誇っています。490億円の収入があるとは言え、220億円の追加費用(人件費)です。普通の会社では有りえないことです。なぜ、レアルは可能なんでしょうか?
スペインのクラブは、国内法によって、非営利団体です。プロがNPOとは不思議な形態ですが、クラブの買収を避けるための措置でした。そこで、クラブは、ファンから会費(ソシオ)を募って、集まった会費でクラブを運営する仕組みを作りました。この仕組みを「ソシオ制度」と言います。(唯、1990年に「スポーツ会社法」ができ、現在、ソシオ制度の下でクラブ経営を行っているのは、レアル、バルセロナ、バルビオ、オサス-ナの4クラブになっています)
会費を払った会員は、年間予約席を得ると共に、クラブ会長選挙の時「投票権」を得ます。所が、クラブはNPOですから、会長は経営責任を取る必要がありません。だから、会長選挙では、会長候補がとんでもない公約(マニフェスト)を掲げます。会員も経営責任がありませんから、当然、派手な公約を掲げた候補に投票します。
現会長のペレス氏が2000年の会長選に立候補した時、全くの無名でした。そこで、彼は、当時バルセロナに所属していた世界的大物の、ルイス・フィーゴの獲得を掲げ当選を果しました。そして、レアルは大金を叩いてフィーゴを手に入れました。ペレス会長は、過去にも同様の手法で、世界的な有名選手をレアルに持ってきています。
だが、220億円も臨時で出費するレアルが収支を整えることが可能だろうか、との疑問が残ります。何故なら、レアルは、過去、有名選手を取り過ぎて大きな負債を抱えたために、練習場をマドリード市に売却した苦い経験を持っています。
所で、スペインのクラブの多くが大きな負債を抱えていると言われていますが、どうやら、銀行借入で帳消しにしているようです。ソシオ組織では、銀行借入金に誰も責任を取ろうとしませんので、返済は先送りされます。銀行も無理に取り立ててクラブを窮地に追いやるとファンの怒りを買いますので、金利だけ払ってもらうことで妥協しているようです。
カカとロナウドの獲得でレアルの財務は相当劣化すると予想されます。レアルがどのように収支のバランスを保つのか、注目です。
Forbidden fruit is sweetest.
今年2回目のマーケティング調査を西武ドームで行いました。スーツ着用のゼミ生17名が10:45に西武球場前駅改札出口前に集合。開門1時間前の11:00より約1時間、5つのグループに分かれて、入場門の前で並んでいたり、入場券や応援グッズを購入するために列を作っている、ファンの皆さんにアンケートに応えて貰う手法で、試合観戦者の属性調査を行いました。
集まったデータが7月中旬頃グラフ化される予定です。グラフはライオンズと共有します。
入場門が開くと同時に調査は終了です。その後、ゼミ生が全員揃ってから昼食です。食事後、ライオンズが進めています経営改革の進捗状況について経営企画部の荒原、高橋、光岡の3氏から約1時間に亘ってプレゼンテーションを受けました。
球団スタッフの皆さんとの意見交換は実践的なことを聞くことができますので、ゼミ生に好評です。今回も「スポーツ経営」を学ぶ彼らには有意義、且つ、刺激的だったようです。もう少し時間が欲しかったとのコメントを彼らから聞きました。プレゼンテーションと意見交換が終ると、球場に移り、ソフトバンクとの試合をライオンズファンの中に混じって観戦しました。
調査・意見交換・観戦を行い、意味のある充実した1日でしたので、6月18日(木)のインフルエンザによる休講の代りとなる「補講」扱いにしました。
実質、3日分の補講に相当する長い土曜日でした。
Time is money.
ヘッドラインで、Jリーグの2008年度決算を伝えました。Jリーグの事業収入は128億円。その中から70億円が各クラブに分配されます。一方、2007年度(2008年度は未公表)のJリーグのクラブ収入はJ-1が588億円、J-2が151億円、合計739億円でした。仮りに、Jリーグクラブの2008年度の収入を2007年度並と想定した場合、2008年度のJリーグ全体での収入は、128-70+739=797億円になります。
日本サッカー協会も、Jリーグとは別に、2008年度の収入は163億円だったと公表しました。そこで、協会・Jリーグ・Jリーグクラブの収入を合算しますと、797+163=960億円です。ワールドカップ南アフリカ大会の2010年には、サッカー界の収入がプロ野球の収入(約1,100億円)と肩を並べるか、追い抜く可能性が高まってきました。
それにしましても、Jリーグからクラブへの分配金が70億円とは少な過ぎます。クラブ収入の10%程度に過ぎません。クラブは、基本的には、全国市場のテレビ・マーチャンダイジング・スポンサーシップの現金化をリーグに委ねています。残りの約90%をクラブ自ら販売するチケット代とスタジアム内物品で賄う構造では、クラブの黒字達成が難しくなります。
だから、クラブは出資会社に広告宣伝の名目で資金援助を仰ぐことになります。特に、大企業が出資するクラブは依存度が高くなっています。それでは、経営の仕組みがプロ野球と同じになってしまいます。日本のサッカー界はプロ野球を反面教師にしたはずです。プロ野球と同じ構図では喜劇です。早急にプロ野球と異なる経営策を講じるべきです。そこで、1つの案として、ドイツ方式を検討してはどうでしょう?
ドイツのブンデスリーガの1部と2部は、ドイツサッカー協会とテレビ放送権処理会社を作り、ブンデスリーガと代表チームの放送権を一括管理しています。
日本でも、Jリーグ・クラブ・協会が全国市場向けの権利を一括管理・処理する仕組みを作り、且つ、権利処理に明るい専門家集団に権利の現金化を委ねた方が効率的・経済的と考えます。如何ですか?
Who will bell the cat?
東日本社会人アメリカンフットボール(アメフト)の決勝戦、Pearl Bowlを東京ドームで見ました。オービック・シーガルズ対鹿島ディアーズの対戦でした。主催するNPO法人日本社会人アメリカンフットボール協会(Xリーグ)の首脳とも意見交換をする機会がありました。だが、今回、ゲームよりも興味深かったのは、テレビ放送でした。
テレビ放送は、生中継ではなく、MXテレビが翌日(20日、土曜日)の午後、また、Jスポーツが28日(日曜日)22:30~の録画です。生中継だと、社員が応援に駆けつけないで、テレビ観戦をするので、東京ドームが閑散となるばかりでなく、テレビの映りも良くないため、主催者のXリーグの判断で録画放送になっていると聞きました。NFLのBlack-Outルールと同じ考えです。NFLの場合、試合開始72時間前にチケットが完売していない時、主催地でのテレビ放送を中止(black-out)して良いことになっています。
東京ドームのフィールドでは、バックネットとスコアボード(即ち、キャッチャーとセンターを結ぶ)ライン上にゴールポストが設定されます。従って、50ヤードラインを正面に見る位置は、野球のファウル・ライン延長線上の左右のポール辺りになっていました。
決勝戦にも拘らず、一般観客は少なく、席を埋めるのは両チームの社員でした。テレビの生中継が敬遠される由縁です。両チームの応援団(合計7~9千人の社員)は左右のポールを挟んで陣取り、チアーリーダーの掛け声に合せ、攻撃・守備に関係なく、常時声を出したり、応援グッズを叩いたりで大忙しです。面白いのは、東京ドームの両端での声援ですから、相手側がどんな応援をしているのか、殆ど、分からないことです。だから、応援がやや自己陶酔ぎみです。
社会人のアメフトチームは60~70名の選手とチア-リーダー含む80~90名のスタッフを抱えています。アメフトは安全確保のために種々の用具を身に付けますが、用具の値段は安いものではありません。選手やスタッフの人件費やその他経費を勘案しますと、アメフトのチームを維持することは相当の金銭的覚悟が必要です。
しかし、現状は、一般のスポーツファンに社会人のアメフトが十分に浸透していません。NPBやJリーグと同じで、スタジアムが観客で満杯にならないと、テレビ放送やマーチャンダイジングのビジネスが上手く行かず、スポンサーも集まらないことになります。社会人スポーツの苦しい現状を垣間見ることができました。
Heaven helps those who help themselves.







