イギリスはサッカー発祥の国です。所が、イギリスはサッカーワールドカップにイギリス代表を送っていません。出場するのは、イングランド代表やスコットランド代表です。不思議ですね。サッカーの歴史を少し遡ると、現在のサッカーの仕組みの大枠が、国際サッカー連盟(FIFA)誕生前にイギリスで出来上がったことが分かります。
今日のCSPOでは、FIFA誕生前のイギリスについて話をしました。イギリスの歴史はローマ時代のユリウス・カエサル(シーザー)の頃に遡ります。カエサルは「ガリア戦記」を残しています。当時、ローマ人が「ガリア」と呼んだ地域は、フランス、西ドイツ、イギリスを含む現在の西ヨーロッパに相当します。そこにはガリア=ケルト(人)が住んでいました。ケルト人は英語で「Celtic」と言います。NBAの強豪チーム、Boston Celticsはボストン周辺にアイルランド系の移民の人たちが多いことから名付けられました。
つまり、カエサルのローマ時代、イギリスの地(ブリタニア)にはケルト人が住んでいたのです。だが、4世紀頃から始ったゲルマン(German)民族の大移動に伴い、アングロ・サクソン人がイギリスのイングランド地域に住み着きました。その結果、先住民のケルト人は、ウェールズ地方、スコットランド地方、それに、アイルランド地方に追いやられることになったのです。
国家的には、イングランドがウェールズを1283年に併合、スコットランドと1707年に合併、アイルランドを1801年に併合して今日に至っています。
サッカーはイングランドで育まれ、イギリス全土に広まり、そして、世界中に浸透していきます。サッカーのクラブが増え、サッカー人口が増大すると全体を纏める組織が必要になります。そこで、1863年にイングランドサッカー協会が創立されます。その後、1873年にスコットランドサッカー協会が、1877年にウェールズとアイルランドにサッカー協会が設立されます。
記録によれば、1870年に、イングランドのサッカー協会がスコットランドと試合を行いました。スコットランドに協会が生まれる前です。しかし、彼らは、イングランドとスコットランドの対抗戦を「国際試合」と称し、協会に所属するクラブに国際試合に出場する選手を無条件で解放(release)する義務を負わせました。これが、国際マッチの走りであり、選手を代表選手にするためにクラブから解放してあげる義務・慣習が出来上がったのです。
4つの協会が国際試合を繰り返すようになりますと、4つの地域に共通のルールが必要になりますし、ルールの改定も4つの地域の代表が決める必要があるとの認識に至ります。そこで、1882年にルール改訂を司る「国際サッカー評議会」が設立されます。現存する世界で唯一のサッカーのルール改訂機関です。面白いことに、4つの協会は彼らが共同で行う時、「国際」の言葉を冠にしました。相当傲慢です。余談ですが、MLBが決勝戦を「World Series」と称しているのと同じです。アングロ・サクソン人のDNA的発想なんでしょう。そして、1888年にイングランドでプロリーグがスタートしました。
FIFAの創設が1904年です。イギリスのサッカーの歴史を振り返りますと、イギリスの4つの協会が特殊な存在であることが理解できます。
日本サッカー協会の犬飼会長が主張していたJリーグの「秋春シーズン制」への移行問題は、Jリーグが経営上の理由で先送りを決定しました。しかし、Jリーグの決定が必ずしも最終決定にならないのが、協会とJリーグの関係です。この問題は今後も協会とJリーグの間で議論が続くと予想します。
今日のCSPOは「サッカー協会とJリーグ」を取り上げました。
日本のプロ野球では、試合スケジュールから国際試合に至るまで、内部組織で決定され、実行に移されます。だが、サッカーはそうなっていません。Jリーグがサッカー協会の内部組織であるために、協会の制約を受けるからです。
アマチュアの協会内部にプロのリーグとクラブが所属する仕組みは、1888年のイングランドでのプロリーグ誕生まで遡ります。
1876年にアメリカで世界初のプロリーグ、National Leagueが創立されました。その成功はイギリスにも伝わっていましたが、イングランドのサッカークラブの経営者たちは、1888年のプロリーグ(Football League)立ち上げの時に、サッカー協会の内部に留まる決心をし、同時に、アマチュアからの要求も受け入れることを決めました。
その後、1904年に国際サッカー連盟(FIFA)が設立されます。更には、FIFAと各国・地域のサッカー協会の間に、大陸毎の連盟も出来ます。結果、FIFAを頂点に、その下に大陸の連盟、連盟の下に国や地域の協会、協会の下にプロリーグが存在し、そのプロリーグはクラブによって構成される、ピラミッド型の支配構造が出来上がりました。
イングランドで構築された協会とプロリーグの関係は、世界に普及しましたので、日本でも、Jリーグ発足のとき、協会に属することに違和感を誰も感じませんでした。
しかし、このような関係がベストなのか、と言う点については、継続的に検証する必要があるような気がします。







