今日、「Catch the Sports!」の収録を行いましたが、サンスポ提供の今週のヘッドラインの中に以下のようなニュースがありました。
「来年3月に開催される第2回World Baseball Classic(WBC)の日本代表監督に星野仙一さんが就任することが確実になりました。監督選考を議論する「WBC体制検討会議」が開かれ、出席者の”満場一致”で内定したということで、次回28日にも予定される第2回会合を経て、加藤良三コミッショナーが星野さんの就任を正式発表するそうです」
もし、この報道が正しければ、星野さんは非常に高いリスクを背負うことになります。何故か、と言いますと、
北京オリンピックでメダルを逸したために、星野さんはメディアやファンから痛烈な批難を浴びました。気落ちしたのか、彼は自分のブログでWBCの監督は要請があっても受けない旨、明言しました。前言を翻しての監督就任となると、「優勝」が公約になります。万一WBCで優勝を逃すと彼が表舞台で活躍することは絶望的になると推測します。
一方、ライバルのアメリカも必死です。今回のWBCで「優勝」を逃すとMLBが世間の笑いものになりますし、2回連続で世界一になれないならばWBCなんか止めてしまえ、と批難されるでしょう。
だから、アメリカはなりふり構わず、「優勝」を目指すでしょう。今回のアメリカは強敵です。また、韓国やキューバも北京以上の選手を送ってくるでしょうから、激戦です。どの国も日本に簡単に勝たせてくれないと予想します。
少し「洞察力」のある人なら、上記のような難しさは推察できます。検討会議に出席していた星野さんがなぜ「No」と言わなかったのか、私には不可解です。
もっとも、勝負師は「負ける」ことを考えないのかも知れません。
「スポーツ産業構造論」(木曜日13:00~14:30)では、隔週毎にゲストを招いています。これまで、スポーツ産業関連企業から幅広い人選をしてきましたが、今年の後期は少し趣を変えて、パリーグの各球団が進めています「改革」に焦点を当てることにしました。そこで、在京パリーグ球団を中心に声を掛けました結果、以下のエキスパートが講義に来てくれることになりました。
10月9日 原田卓也氏 (ロッテ事業企画室長)
10月23日 荒原正明氏 (西武営業部長)
11月6日 大社啓二氏 (日本ハムオーナー)
12月4日 荒木重雄氏 (ロッテ取締役)
そうは言っても、パリーグに片寄り過ぎも良くありませんので、浦和レッズの白戸秀和氏とbjリーグの河内敏光コミッショナーにも講義をお願いしています。
今日、原田さんは、約70分の間に以下4つの題目を話してくれました。
(1) 各球団別のビジネスモデル
(2) Consumer Relationship Management (CRM)
(3) インハウスメディア
(4) Pacific League Marketing (PLM)
CRMは、Jリーグが導入して一定の成果をあげましたので、パリーグも導入を計る事になったと聞きました。パリーグはPLMを設立したこともあって、事業やプロジェクトの共同開発が進めやすくなっています。
学生は、球団別のビジネスモデルを聞いた上で、PLMやCRMの説明を受けましたので、全体的に理解しやすかったと推察します。
原田さんにはゼミにも出席して頂き、更には、ゼミ生も加えた酒席にも参加してもらいました。20才前後の若者と半日一緒に過ごして、原田さんは若者のエネルギーを吸収されたと思います。因みに、私は毎週若いエネルギーを吸収しています。
イングランドサッカー協会のトリーズマン会長がイングランドのクラブが合せて約30億ポンド(約5,500億円)の負債を抱えていることを公表しました。
しかし、プレミアリーグを筆頭に、2006-07年のイングランドの4プロリーグ(合計92クラブ)はどれもが税前損失でしたし、2007年夏の時点で、純負債が25億ポンドに達していましたので、サッカー協会の危機感演出は今更の感がしないわけではありません。
Deloitteが発行します「Football Finance」によれば、プレミアリーグのクラブが抱える負債の3分の1は無利子の長期貸付金です。それらには、Manchester UnitedやChelseaのように、株主(オーナー)がクラブに提供した資金も含まれます。
したがって、恐らく、協会がクラブ経営者に金融危機に伴う銀行の貸し渋りに備えるように警告を発したものと解釈できます。
とは言え、プレミアリーグが負債を抱えるのは事実ですから、クラブと銀行の動向は要注意です。
問題は、イングランドよりもイタリアやスペインです。特に、スペインの場合、ソシオ制に従い、会員が投票でクラブ会長を決めます。ところが、会長や役員は個人的には一切経営責任を負いません。ソシオ制の弱点は誰も経営責任を取らないことです。当然、放漫経営になります。
これまで銀行は貸付金の返済をクラブに迫りませんでした。何故なら、返済を強要してクラブが倒産ともなれば、住民が怒り、政治問題になるのは必至だからです。しかし、今回の金融不安は大手銀行でさえもが消滅しかねないほど強烈です。
イタリアとスペインの金融と実体経済の動向に注意を払う必要がありますし、スポーツ経営の格好の教材になると予想します。
社会人野球の新日本石油(ENEOS)に所属する田沢純一投手が日本のプロ野球を経由せずに、直接メジャーリーグに挑戦することを表明したのが9月11日です。それから1ヶ月の間、プロ野球とアマチュアの野球組織はアマチュア選手のメジャー流出阻止に向けた対策を検討してきました。
昨日、プロ野球の実行委員会が、ドラフトを拒否して海外のプロ球団入りしたアマチュア選手に対して、高校から直接海外に行った場合退団後3年間、大学生と社会人の場合退団後2年間、日本のプロ野球球団と契約できないルール作りに合意しました。
アマチュア側の合意を得ることが出来るかどうか不明ですが、海外流出阻止に対する指針(叩き台)が出たことになります。
批難や皮肉ではありませんが、現段階では、プロ野球が講じることができる最良の案の1つだと思います。
何故なら、日米の選手年俸が3,700万円と3億円の格差がある限り、どんな策を講じても日本人選手のメジャー行きを阻止することは困難ですし、ましてや、田沢選手のように日本に帰ることを考えずに不退転の気持ちでアメリカに渡る人には球団拒否程度では何ら影響ないでしょうが、「何となく」と軽い気持ちでメジャーに挑戦しようかな、と考えているアマチュア選手にはブレーキの役割を果すと予想されるからです。
新人選手の採用(ドラフト)を含め、選手を管理下に置く事はプロリーグの経営者が最優先して考えることですが、リーグ全体及び各球団の収入増を計ることも経営者の重要な仕事です。
プロ野球のスカウトの間で評判の高い田沢投手ですが、彼がMLBで通用するかどうか全くの未知数です。そんな彼から入団を拒否された日本のプロ野球の経営者は「恥」を感じなければなりません。年俸の格差縮小なしに選手流出を防ぐ手立てはありません。経営者は選手年俸格差是正に真剣に取り組むべきです。
田沢投手に日本のプロ野球で投げたいと思わせる環境作りがプロ野球の構造改革そのものなのです。構造改革を進めるためには将来ビジョンを描く必要があります。プロ野球の経営者に10年先、20年先のプロ野球の「姿」を描いて欲しいですね。そうすれば、第2の田沢選手は出てこないかも知れません。
鹿島アントラーズが特定のポジションに力のある選手を2人用意し、併用するターンオーバー制を試みています。選手のスケジュールが過密化する中でのチャレンジは注目に値します。
ターンオーバー制は、リーグ制に加え、カップ戦と代表戦が重なり、選手のスケジュールが過密になるヨーロッパでは日常的に採用されているシステムです。
ヨーロッパのサッカー界は、例えば、イングランドを例に取りますと、クラブは、自国のリーグ戦の外に、サッカー協会が主催しますFAカップに参加します。また、リーグ戦の上位クラブはUEFAが主催するチャンピオンズリーグ、又は、UEFAカップに参加します。更に、力のある選手は、クラブが関与する試合以外に、ヨーロッパ選手権やFIFAワールドカップの地区予選に国代表として出場しますので、疲労から生じるケガを避けるために、リーグ戦用とカップ戦用に選手を別々に備える必要があります。
日本も、ヨーロッパのサッカースケジュールに似始めました。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)が来年からスケールアップするからです。ACLの出場クラブが32に増え、日本から4クラブが出場します。賞金総額が1,400万ドルに増加して、優勝賞金も現行の4倍の200万ドル以上になる予定です。
だから、鹿島アントラーズなど、Jリーグの強豪クラブはターンオーバー制を敷いてJリーグの上位を狙うと同時にACLでも優勝争いに加わる戦力を保持する方向にあるのです。
しかしながら、ヨーロッパやアジアのチャンピオンズリーグの人気が高まり。賞金の金額が高まれば高まるほど、皮肉なことに、クラブの経営が不安定になります。
基本的に、リーグ戦では、収入と支出の予算化(管理)が比較的容易ですが、FAカップやチャンピオンズリーグなどはトーナメント形式を採用していますので、予算化が困難です。
選手年俸は固定費です。しかし、チャンピオンズリーグの戦績で収入が上下しますので、クラブの損益に幅が出ることになります。
ターンオーバー制がクラブ経営を難しくする制度であることは間違いありません。







