サンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズがあと2本ホームランを打てば、通算最多ホームランのMLB新記録達成です。MLBの伝説的英雄であるベーブ・ルースを抜き、更に、ハンク・アーロンの記録を塗り替えるのですから誰もがその瞬間を心待ちにしているはずですが、心做しか、MLBもメディアも困惑した気持ちで静観しています。言わば、嵐の前の静けさです。
なぜかと言えば、バリー・ボンズの「ステロイド疑惑」が完全に払拭させていないからです。誰もが、彼の非凡さは認めています。打撃に関する限り(守備は下手です。練習しません)、彼は一流ですし、誰も彼の高い技術を賞賛します。それよりも、努力家です。ステロイドが無くても、ベーブ・ルースやハンク・アーロンに迫ったはずです。
それでも、新記録達成後、不正薬物を使用していたことが判明した場合、その先の混乱は想像できます。これ以上は、別の機会に書くことにしましょう。
ところで、1974年の晩秋、アトランタ・ブレ-ブスに在籍していたハンク・アーロンのニューヨーク最後の試合をShea Stadiumで見ました。内野席の最上段からアーロンの全打席をスタンディングオベーションしながらです。感激でしたね。今でもあの時の情景を思い出します。
(私には本当にアーロン最後の打席となりましたが、アーロンはその後Milwaukee Brewersに移籍し、あと2年MLBに在籍します。だから、ニューヨーク最後の試合ではなかったのですが、当時のニューヨークの新聞は挙って「最後の試合」と感傷的に書いていました。治安が良くない頃でしたので、往復タクシーで行きました。タクシー代の方がチケット代よりも高かったですね)
8月の第1週から週に1回、5回連続で「フジサンケイ ビジネスアイ」に1,300字相当の記事を投稿します。
第1回 「スポーツは国家的戦略産業」
第2回 「GDPに見合ったスポーツ産業の育成」
第3回 「スポーツマネジメント教育」
第4回 「健康寿命を伸ばして医療費の軽減」
第5回 「球団と球場は文化的公共財」
を予定しています。
今日、第1回の原稿を送付しました。(8月1日に新聞掲載ですので、それ以降原稿を読めるようにします。それまで待って下さい)
第2回の原稿もほぼ書き終わっていますが、第3回の原稿と併せ読み返しをした上で、第2回の原稿を来週早々に送付する予定です。
今回は、「スポーツと経済」を国家的視点から論じてみたいと思っています。
前期の評価表を大学に送付しました。気分的に今日の午後から夏休みです。リラックスムードの下で、予てのアポイントメントに従ってbjリーグを訪ねました。ランチを含め、コミッショナーの河内敏光氏、新任のリーグ社長の中野秀光氏、リーグディレクターの安部達也氏のリーグ3首脳と延べ4時間に亘って会談しました。よくも話がつきないものだと感心します。
今年の11月に3期目のシーズンに入りますbjリーグは、私の大学専任職員期間と合致します。リーグの開幕前に約6ヶ月間コンサルティングをしたこと、及び、これまで帝京大の学生を4名インターンとして派遣していることも相俟って、bjリーグの経営的動向には高い関心があります。
球団平均収入では、プロ野球が約90億円、Jリーグが約30億円に対して、2年目終了のbjリーグは2億円程度です。損益分岐点に到達するまでにはあと数歩の努力が必要です。しかし、小規模故の有利さもあります。野球やサッカーと異なり、観客が少し増えれば採算が直ぐに良くなる点です。また、アリーナ(体育館)建設も大規模でないだけに地方自治体の協力を得易い環境にあります。
11月の3期目のシーズンから沖縄と福岡が加わり、10チームになります。5,000人収容のアリーナで試合が出来れば満足です。したがって、中規模の都市でもフランチャイズが可能です。たくさんの都市にバスケットボールのプロチームを置くことも夢ではありません。各県に最低1チーム。大都市には2チームあって、合計50~60のチームができれば、その経済効果はとてつもないものになります。サッカーが「百年構想」ならば、bjリーグは「25年で50チーム構想」をぶち上げては如何でしょう?
私の次の課題が「プロスポーツと地方自治体」です。bjリーグの「25年構想」(勝手に私が命名しましたが)は課題研究の下敷きになりえます。
今年の全英オープンゴルフはP.ハリントン(アイルランド)の優勝で幕を閉じました。これで、マスターズのZ.ジョンソン(USA)、全米オープンのA.カブレラ(アルゼンチン)に続いて、3人ともにメジャー初制覇となりました。今年からゴルフトーナメントの仕組みが大きく変わりました。トーナメントの期間が短縮される一方で、賞金総額がほぼ倍増しました。それが原因なのか分りませんが、最初の年は波乱が続いています。メジャー大会の初優勝者3人はPGAグランドスラムに出場する資格を得たことになります。
PGAグランドスラムは1993年からメジャー大会優勝者だけに参加資格が与えられるゴルフ大会としてスタートしました。親友のボブ・ローゼンの提案が実った大会です。彼の仲介でPGA of America(PGA、PGA選手権の主催者)とTurner Broadcasting System との間で、ニューヨーク時間のプライムタイムにゴルフを放送することが合意に達しました。4大メジャー大会の優勝者4人だけが参加資格を有します(1人が2つのタイトルを取った場合、ポイント制で優勝経験者の中から選抜します)し、4人で賞金総額100万ドル(現在は120万ドル)を分け合います。加え、メジャー大会の代表者としての出場ですから、選手は意地があります。ですから、非公式戦とは言え、選手はいつも真剣勝負です。これが大会を面白くしています。
私は、ローゼンさんから日本における放送権を預かっています。つまり、放送権販売の代理人です。役得を生かして、これまで世界のトップレベルのゴルフ選手を殆ど毎年現地で見てきました。タイガー・ウッズのプレーを都合8回見ています。世界の一流選手の技が紙一重の差であることも、そして、彼らが常に努力していることも、横でプレーを見るだけで充分に分ります。
それにしても、メジャー大会に3連続初優勝者が出るほど、世界はゴルフの裾野が広がっています。だが、日本人選手は一度もメジャー大会を制覇していません。最近では、優勝候補に日本人選手の名前が挙がりませんし、実際、最終日の段階で優勝圏外ばかりです。しかし、日本人にメジャー大会に優勝してもらって、是非、PGAグランドスラムに出場してもらいたいものです。
プロ野球の選手会が臨時総会を開き、フリーエージェント(FA)権取得年数の短縮と移籍に伴う補償金の撤廃などを求める訴訟を起すことを全会一致で決めました。但し、実際にいつ訴訟に踏み切るのかは決まっていません。
選手会と経営者(NPB)は、2004年のストライキの後に構造改革協議会を作って労使で構造改革を進める手筈でしたが、NPB球団の利害対立が原因で労使間交渉が頓挫しました。このことで、選手会が提訴提案に至ったようです。
アメリカのMLBのFA取得期間は6年間です。確かに、日本の9年が長いのは否めません。また、移籍の際の補償金もMLBに移る時はゼロなのに、国内球団間の移籍では年俸の1.2倍の補償金が必要となります。補償金が選手移籍の大きな障害になっているのも事実です。それ以上に不公平です。
このように、日本のプロ野球は個々に問題を抱えています。だが、それらの問題をMLBとの単純比較で論じるのは危険があります。比較をする場合、
アメリカの労働政策を理解した上で、話を進めた方が良さそうです。アメリカでは、私企業(MLBも含まれる)の労使紛争は経営者と労働者(選手会)との間で交渉して解決することを推奨しています。当事者間での解決を優先し、国の介入を極力避けてきました。MLBも他の産業と同じく、選手会が労働組合を組成し、選手会と経営者が団体労働協約(協約)を締結して、協約の下で労働条件を話し合ってきました。したがって、FAや補償金の問題も協約改訂時に話し合って解決できる仕組みになっています。また、労使紛争に対するコミッショナーの判断が協約の範囲内であれば、公の裁判所がコミッショナーの裁定にくちばしを挟むこともありません。
経営者と選手会との間に協約が存在しない日本のプロ野球は、選手が異議申し立てを行った場合の公正な第三者調停制度もありません。コミッショナーが労使交渉に介入することもありませんので、選手会は経営者が耳を貸さない物や事について公の裁判所に訴える以外解決策がないようです。
日本ではこの種の話になった時に、コミッショナーが蚊帳の外に出て行きます。もう少し、コミッショナーや両リーグ会長が調整役に徹しても良さそうです。 また、構造改革協議会のような労使間で話し合う場は拘束力のある第三者の意見(調停)があっても良いのではないでしょうか。







