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文部科学省が幼稚園から大学院までの国公私立すべての学校を対象に行った学校基本調査によれば、今年春、4年制大学を卒業した学生の就職率は60.8%だった。
大学院などへの進学者が13.4%だったので、フルタイムの職に就けなかった卒業生は全体の25.8%、卒業生4人に1人、数にして14万人。学校で教える者として、心が痛む。

今、大学は「ゆとりの学習」の弊害を払拭する最後の砦だそうだ。高校では弊害部分をやり直せないし、弊害持参で就職させることも出来ないからだ。当然、大学にしわ寄せが来る。前期15回、後期15回、合計30回の90分授業を教員は義務付けられている。だから、教員の夏休みはお盆直前から。だが、30回の授業義務は、残念ながら、焼け石に水。
「ゆとり」と「少子化」は文部科学省の役人の理想とは反対に、学生に甘えを与え、自分自ら「知りたい」「学びたい」とする意欲を奪ってしまった。彼らの多くは、与えられたことしかしないし、できないとすぐに諦めてしまう。
大学の授業はすべて専門的。基礎学力があるのが前提だから、基礎知識がない場合は予習・復習が不可欠。だが、学生は追いつく努力よりも、諦めが早い。結局、大学は最後の砦になれない。

数年前に、MLB(米大リーグ)のヤンキースやレッドソックスの話をしている時、ニューヨークやボストンの所在を聞いて驚いた。「地理」を勉強していないので所在地は分からないと平気な顔の学生が半端でなかった。ヨーロッパサッカーでバルセロナやリバプールを聞いた時も同じだった。そこで、毎年、米国4大プロリーグの球団とその所在地を米国の白地図に記入する宿題を課し、4回の宿題の後にテストを行っている。ヨーロッパサッカーの5大国トップリーグも同様、5階の白地図宿題とテストを行う。信じられないことだが、テスト予告をしてもゼロ点が続出する。それでは下駄を履かせられないので、再度テストを行うが、4分の1が、依然、15問中5問以下の正解。
質問の内容や事前告知を考慮すると、中学生以下のレベルだから、「意欲」の問題としか言いようがない。だから、期末のテストも散々なものだ。

私の事例は例外的で、本当は意欲旺盛な学生が大半かもしれない。しかし、私が企業の人事担当ならば、MLBやヨーロッパサッカーを学ぶ学生が、宿題と事前告知を経ても、ニューヨーク、ボストン、バルセロナ、リバプールの場所を指摘できないならば、採用する気になれない。一事が万事いい加減と推察するからだ。

プロ野球の2軍の選手もほんの5年前と比べ気質が変わったそうだ。指導者が檄を飛ばすと、昔は「何くそ」と食らいついてきたが、今は心を閉ざすらしい。2軍監督によると、2軍に居続ける選手と1軍に昇る選手の違いは、自覚と目標を持つか否かだそうだ。
一般論だが、組織は20%のリーダーと60%の中堅、20%のその他で、構成される。中堅が優秀な企業ほど伸びる。なぜなら、力のある中堅がリーダー層に刺激を与えるからだ。一方、中堅の力が落ちると企業の力も低下する。

就職難は、リーマン・ショック後の景気低迷によって企業が新規採用に慎重になったためと言われているが、景気の悪化だけが原因ではないような気がする。企業で働いた経験、および、授業の実態から推察して、卒業生の質に疑問を持つ企業の人事担当が新卒採用を躊躇しているように思えて仕方がない。今のままでは、近い将来、企業が新卒採用よりも中途入社に力点を置く公算が大きい。
危惧が現実にならないために、1軍に昇る野球選手のように、学生にも早くから自覚を持って欲しい。

 

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桜が満開の熊本城に行った。城内に約800本の桜が植わっている。城を築いた加藤清正の気質が伝わるかの如く、白と黒の色調の天守閣を背にした桜は質実剛健の趣があった。清正が朝鮮出兵の体験を生かして、「武者返し」と呼ばれる石垣を築き、150を超える井戸を備えたため、城は長期の籠城にも耐えることができるといわれた。だが、築城以来明治時代に入るまで戦いの庭になることはなく、その堅牢さを証明したのは、270年経った1877年の西南戦争だった。

西郷隆盛を総指揮官に担ぎ鹿児島の旧薩摩藩士約3万が、明治政府に武力で旧士族の不平不満を訴えるべく上京するために、通過点となる熊本城を包囲した。西郷軍は50日余り攻めたが、守備兵3000の城を抜くことができなかった。結果、旧士族軍は撤退を余儀なくされ敗戦を招くことになる。
98平方メートルの面積を有する城は明治維新後、鎮台が置かれた。一方で、城そのものは「戦国の余り物」として本丸主要部以外の塀、櫓、石垣は取り壊されたが、それでも、時の鎮台長官の谷千城は武士階級ではない兵員で、しかも約10分の1の兵力で守り抜いた。城を落とせなかった西郷は「官軍に負けたのではなく、清正公に負けた」と嘆いたとの逸話が残っている。

基礎が大事ということにおいて築城と大学は共通点がある。今週から新年度の授業が始まる。希望に満ちた新1年生が入ってくる。彼らはこれからの1年間を、大学の4年間を有意義に学び、その後社会に貢献するための基礎作りに費やさねばならない。大学の授業は中学・高校と大きく異なる。履修科目が大幅に増える一方で、1科目当りの受講回数が少ない。90分授業を前期と後期おのおの15回、合計30回で終了する。1年生は12科目前後履修登録するのが普通。しかも、彼らにとってほとんどの科目が全くの初耳。だから、予習と復習に時間を割かないと、十分な知識を蓄えることなく1年間が終わってしまう。
実践の面から言えば、履修科目の単位を無難に取得するだけでは物足りない。将来のことを考えると、履修科目に加え、音楽・美術・歴史・宗教・哲学などの一般教養を身に付けることも極めて重要だ。1年間を授業の予習・復習と教養を広めるための読書に費やせば、その習慣は4年生卒業時までのみならず、社会人になっても継続が可能である。新1年生にはぜひ良い習慣を身に付けてほしい。

春の選抜高校野球が終わった。いつものことながら、監督の日頃の教育が大きく勝敗に影響する。夏の大会と異なり、4月に3年生と2年生になる選手でチームが構成される。旧3年生が抜けた分、部員の数が減り、同時に、走・功・守、更には連携プレーも発展途上だから、指揮官である監督のリーダーシップが勝利の鍵を握ることになる。
もちろん、試合を行うのは学生だ。だが、良い指揮官の下で鍛えられたチームしか勝ち続けることはできない。野球だけではない。学生スポーツは監督次第と言っても過言ではない。われわれはたくさんの例を知っている。逆に言うと、学生の自主判断を尊重する方法は必ずしも正しいやり方ではないのだ。学生スポーツで言うと、企業が同好会出身よりも本格的部活を経験した学生を重用することでも理解できる。

熊本城に行き、そして甲子園をテレビで見て、基礎を教える指揮者や指導者はどうあるべきか、改めて考えさせられた。今週からの授業に反映させたい。

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今週多くの大学で卒業式が行われる。ところが2月1日現在、就職希望者の内定率は80%、2000年以降最悪の水準だ。内訳を見ると、卒業予定者は約56万人。うち就職希望者が40万5000人。これに対し、内定者は32万4000人。卒業はするが就職を希望しない学生が約16万人もいる。彼らは大学院に進んだり、家業を継いだり、と自分なりの道を定めていることだろう。だが、就職をあきらめて就職希望者の数に入っていない学生も多いと聞く。そんな潜在的未内定者を含めると、就職できない学生はもっと多くなる。来年の就職も厳しいといわれており、学生はもちろんのこと大学関係者にとっても忌々しき事態が続くのは避けられそうもない。

一方、スポーツの世界では違った現象が起こっている。卓球の福原愛選手が競技生活と学業の両立は困難との理由で大学を中退する。ゴルフの石川遼選手は大学に進むことを断念した。個人競技の石川や個人種目が主となる福原はエンドースメント(個人のスポンサーシップ)契約を結び、経済的に恵まれた中で、勝負に集中することを決心した。彼らは競技に「勝つ」ことが求められており当然の帰結と考える。だが、遼選手を含め、プロ選手でも「学ぶ」ことを忘れてはいけない。
特に、石川や福原のように、経済的自立を果たしている選手には、個人授業を勧める。当代一流の先生たちに出張してもらい、哲学、宗教、軍事を含むあらゆる分野について、試合の合間をぬって、移動する途中の飛行機や電車の中、休憩をとるホテルで、場合によっては食事を一緒に取りながら、話を聞くことでも十分。質問があればいつでも対応してもらえるホットラインがあれば完璧だ。けた外れの年収だから、さほど難しいことではないはずだ。
また、石川などゴルフ選手は、将来、活躍の場を米国に移すことも考えられる。米国のゴルフ選手は圧倒的に大卒が多い。彼らに伍して戦うには、英語力を磨くとともに、知的な備えも必要だ。福原も同じことが言える。エンドースメント契約を結んでいる間に自分自身に投資をすることは必ず将来の糧になる。

個人競技の選手に比べ、団体競技のプロ野球やJリーグの選手は時間の自己管理が難しい。プロ野球やJリーグの場合、大卒よりも高卒の選手が圧倒的に多い。プロ野球選手の現役平均寿命は10年。Jリーガーの70%が20歳代で引退する。だから、野球やサッカーの選手は引退後を考慮して、社会人としての教養と基礎知識を身に付けておいた方が良い。昨シーズンで引退した元ロッテの小宮山選手の生き方や考え方は参考になる。
2月に沖縄に行き、プロ野球のキャンプ地を回った。選手がグランドにいるのは朝10時ごろから夕方4時ごろまでと聞いていたので、その時間に行ってみると、天候が悪いこともあったが、練習時間が大幅に短縮されていたし、練習を休む球団もあった。選手は野球漬けでもなさそうだから、リーグや球団が計画を練って、オフシーズンの12月から2月末までの3ヶ月間、選手たちに一般教養講座を集中して開いてあげるのも意義があると思った。

野球やサッカーの選手になるには子供のころからプロを目指さなければ成就しない。イチローや中村俊輔が示す通り、プロになるには覚悟を固めるのが早ければ早いほど良い。現役の学生たちも、プロのスポーツ選手同様、自分の将来を早めに考える方がよさそうだ。ゆとりの学習は何のために大学で学ぶのか分からない学生を数多く作った。しかし、彼らには就職難は幸いかもしれない。なぜなら、将来について真剣になり、勉学に励まざるを得ないからだ。

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2010年1月15日(金)

昨日(14日)は2009年度最後のゼミ授業でした。最後と言うことで、旧ゼミ生(4年生)が主体となって、現ゼミ生(3年生)との合同「飲み会」を企画していましたので、4年生も数人ゼミに参加しました。
4年生も同じでしたが、現ゼミ生には、前期にディベートとパネルヂスカッション、後期にテーマごとの研究発表、をさせました。彼らは、司会または発表をする時、A4の用紙5~10枚のスピーチ原稿が必要です。司会や発表をしない時でも最低1,200字のレポート2枚を提出する義務がありました。
ゆとりの授業に慣れた学生に毎週レポート提出を求めるゼミは無いでしょう。しかし、旧ゼミ生もそうでしたが、現ゼミ生も毎週欠かさずレポートを提出しました。だから、ゼミの授業が終わる前に、彼らにつぎのようなメッセージを送りました。
「帝京大のラグビー部の学生日本一を見たでしょ。彼らは日頃鍛錬を重ねているから負けていても自信満々だった。見ている方も負ける気がしなかった。諸君も同じ。今時、毎週1,200字のレポートを2枚またはそれ以上を1年間に亘って出し続ける学生はそう居るものではない。1年間続けたことに意味がある。スポーツマネジメントについて十分な力量が付いた。「自信」をもって就職活動に臨んで欲しい。そして、人のため、世のために、有意義な人生を送って欲しい」

合同飲み会では、旧ゼミ生が元気でした。新聞によれば、全国平均で、大学就職内定が73.1%だそうです。4人に1人が未定なんです。飲み会に出席していた4年生は、就職、大学院進学、起業立上げ、が決まっていました。だから、みんな明るい顔をしていました。
現3年生も来年の今頃明るい顔をしてくれていると良いな、と思いました。

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2009年8月6日(木)

今日、前期の成績評価を学校に送付しました。
前期の評価に関連して、気が付いたことや気になったことを列記します。

1 総体的に、今年の1年生は真面目で大人しい。この傾向は毎年強まる傾向にある。ゆとりの学習と関係しているのかな? それとも、男性の「草食動物化」と関係しているのかな?
真面目と言う点では、白地図の成績が良くなった。昨年は酷すぎた。
2 明らかに、常識的な知識や一般的教養の欠落によって、正解とならない答案が多くなった。この傾向も年々増える傾向にある。朝日新聞によると、日頃定期的に新聞を読んでいる学生は総数の10%もいないそうだから、本質を主客転倒して答える学生が増えるのだろう。学生に簡単な知識が蓄積されていないのが、ゆとりの学習の最大の弊害ではないだろうか?
3 出来の悪い解答用紙は字がやたら汚く、雑。スペースが十分にあるのに、薄い鉛筆で小さく数行書くのも最近の傾向。
約70分のテスト中に席を立つことは厳禁だから、明らかに50分以上鉛筆を動かしていないと推察される一握りの学生にとって、テストは拷問に違いない。しかし、白紙に近いテスト用紙を提出する学生の将来はどうなんだろう? 
4 ゼミに編入してきた藤田君(3年編入)が、昨年の田中君や小室君と同じく、1年生と2年生で受講できる科目が立派な成績だったので安心しました。
3年編入生は必須の専門科目を中心に単位を簡単に落とせませんので、想像以上に大変です。加え、私の3科目とゼミを履修しています。遊ぶ時間を削らないと良い成績を得ることができませんが、頑張りました。
勉強もスポーツも、ある程度、「根性」が必要のようです。

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