サッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会はスペインの初優勝で幕を閉じた。
スペインを代表するクラブチームのレアル・マドリードとFCバルセロナは欧州で行われる選手権(対抗戦)勝率が1位と2位である。加えて、スペインの育成システムも評価が高い。したがって、スペインの代表チームは常にW杯の優勝候補に挙げられてきた。しかし、毎度期待に反して、決勝進出もできない不思議なチームだった。
筆者は授業で「今回のスペインはこれまでと違うよ。勝つ理由がある」と学生に言い続けた。その根拠は、欧州サッカー5大国トップリーグのうち、スペインの総収入が2006-07年シーズンにイタリアを抜き3位に浮上、さらに08-09年にドイツを抜いて2位になったからだ。「金持ちけんかせず」という。お金に余裕が出ると気持ちもおおらかになる。もとも、マドリードとバルセロナの選手からわだかまりが減れば、スペインが”無敵艦隊”になるのは明らかだった。
スペインでは、1936~39年に国を二分する内戦があった。その時、バルセロナのあるカタルーニャ州は自治権を与えてくれた共和国側を支持し、フランコ将軍率いる人民戦線と対立した。結果、カタルーニャ州は不幸にも、内戦に勝利したフランコ政権の下で75年までの長い期間抑圧を受けることになる。 このこともあって、バルセロナはチームに「カタルーニャの人々の代表として誇りを持つこと」を求め、当然のことながら、レアル・マドリードとバルセロナの試合は政権側と地方州の代理戦争と化した。ライバルによる宿命の試合は国際試合よりも重要視された。
スペイン代表チームを組む時、実力から判断してマドリードとバルセロナの選手が中心を占めることになる。これまで、最大・最強のライバルチームに所属する選手たちはW杯だから今日から国旗の下で一丸となって戦えといわれても、すぐに順応できなかった。スペインが勝ち続けるには何かの触媒が必要だったのだ。
リーグ全体が裕福になったからスペインが優勝したといったら、サッカーの試合を戦術の視点でとらえる専門家から「ばかを言うではない」と叱られるかもしれない。しかし、試合をするのは感情の動物である人間。気持に左右されるのが人間の性。スペインの場合、対立感情を和らげることが最も効果的な戦術だった。時間も緩和を後押ししてくれた。同時に、経済的余裕も心の刺々しさを解消するのに役立ったはずだ。
逆の例を取り上げると分かりやすい。スペインに代わり06-07年から4位に下がったイタリアは予選リーグを突破できなかった。スペインとイタリアを比較する限り、「金持ち」優位論もまんざら的外れでもなさそうだ。
スペインが「呪縛」から解放された。同様に、サッカーにハイテクを導入してもいい時期にきている。今大会では誤審にも注目が集まった。サッカーは人間にすべての判断を委ねる方針を堅持してきた。審判の問題では保守的だった。だが、このやり方は審判が賄賂の標的になりやすい。事実、欧州では審判を買収するスキャンダルが繰り返されてきた。
サッカーは他のスポーツと違って、「1点」の価値が極めて高い。1点を争うスポーツであるゆえに、審判の負担は想像以上に重い。今やW杯などの国際大会では30を超えるカメラが入る。瞬時にビデオ再生もできる。微妙なゴールの時は、ビデオ判定を行うべきだ。ゴールの時は試合が中断する。短時間でゴールの再確認をする習慣を付ければ、ハイテク導入にも直ぐに慣れるに違いない。
2月に沖縄に行きプロ野球のキャンプ地を訪ねた折、名護球場から宜野座村営野球場に向かう途中、少し遠回りして米国政府と自民党政権が普天間の移設先として合意した辺野古に行ってみた。一昨年夏には大浦湾の対岸から問題の岬を眺望したが、今回は周辺を色々な角度から眺めた。
約束の5月末が近付くに従い、米国と沖縄の板挟みになって鳩山内閣が立ち往生する可能性が日に日に高まっている。もっとも、民主党政権が抱える難問は普天間だけではない。解決または解決に向け着手すべき問題が山積している。さらには、マニフェスト違反も多い。
例えば、国民最大の関心事である天下り根絶では元大蔵(現財務)事務次官の日本郵政社長就任で約束は反故となった。国土交通相がサッカー球団の経営に失敗して辞任した人物を観光庁長官に就けたが、公私混同の疑いがある。無料化を図る予定だった高速道路はいつのまにか値上げに転じようとしている。そして最も摩訶不思議な出来事が郵政改革。貯金の預入限度額と保険の加入限度額を引き上げると言う。企業に融資を行わない郵政グループは預貯金の大半を国債購入に充てるので、限度額引き上げとなれば庶民の貯金が消費に回らないのみならず、国債の増加発行を容易にしてますます国家財政の健全化を遠ざけてしまうことになりかねない。などなど、残念なことばかりだ。
選挙前の民主党に対して「期待」が高かっただけに、発足から7カ月の鳩山政権に対する失望感は膨れ上がるばかりだ。政治とスポーツは「期待感」が先行する。同じことの繰り返しで客を呼ぶ映画やアミューズメントパークと異なり、スポーツには同じ品質の商品(試合)はない。サンプルなし、且つ、品質保証をしない。それで前売り。結果如何に関らず払い戻しはない。普通であればこれほど理不尽な話はないが、スポーツの世界ではこれがビジネスの前提となる。しかし、チケット購入者(ファン)はお人よしではない。試合の主催者、特にプロリーグの経営者は、リーグ全体が協力して試合が面白いに違いないとの期待感をファンに持ってもらう必要がある。そうしない限り、増収増益は実現しない。
選挙のときに投票所に出向くのも、また、チケットを買って球場に駆け付けたり、テレビ観戦したりするのは、選挙の先や試合の展開に「期待感」があるからだ。だが、4年に1度の世界的お祭りが間もなく始まろうとしているのに、一向に国内で盛り上がらないイベントがある。サッカーのワールドカップだ。
1998年、2002年、2006年のフィーバーはどこに消えたのだろうか。今回はメディアも沈黙している。ベスト4を目指す監督の言葉と現実の乖離が大き過ぎるのだろう。だが、ワールドカップは監督と選手だけでなく協会が一丸となって戦うものだ。だから、本当であれば、こんな時は協会が助け船を出し、監督の言葉を事実に近い方向に修正すべきなのだ。ベスト4ではなく予選突破であれば、「期待感」も生まれ頑張れと応援できたであろう。
鳩山内閣では首相の発言は最終で訂正はきかない。しかし、サッカーは違う。協会は監督を管理すると同時に、監督や選手が存分に力を発揮できるように環境を整備してあげる義務がある。代表に対する「期待感」の醸成に失敗した責任は監督だけではなく、協会にもあることを忘れてはいけない。
ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)は、クラブ間の経済格差是正とクラブ経営の安定化を目的に、「経営フェアプレー構想」の規定を今後3年間で段階的に導入することを決めました。
この導入は、レアル・マドリードが約345億円の移籍金を払ってポルトガル代表のロナルドやブラジル代表のカカを獲得したものの、クラブの負債が約440億円に膨らんだことが切っ掛けになったことは、言うまでもありません。しかし、UEFAは、イングランドプレミアリーグに属する有力クラブが軒並み大きな負債を抱え込んでいることに対して警告を発してきました。プレミアリーグのクラブは上場しているために買収の対象になります。マンチェスター・U、リバプール、チェルシー、アーセナルは既に外国資本(オーナー)の支配下です。ところが、これらオーナーたちはクラブの買収金額をクラブに付け替えましたから、当然、クラブの財務内容が大幅に悪化しました。クラブ経営の安定化を促すUEFAの決定は、プレミアリーグのクラブが懸念材料を作り、レアル・マドリードが決定打を打った形となりました。
サッカーの場合、世界中のリーグが自由競争の下で戦っています。自由競争ですから、クラブ間の格差も容認されています。しかも、クラブの戦いはリーグ戦で終了しません。リーグの上位クラブは、大陸加盟国のリーグトップクラブと賞金を掛けて大陸の優勝決定戦を目指してトーナメント形式で戦います。そのため、クラブ間の戦力と経営力の格差が拡大する方向にあります。例を挙げますと、UEFAのチャンピオンズリーグ(ヨーロッパのクラブ選手権)が最もクラブ間の経済格差を助長しています。だから、UEFAのフェアプレー構想は、俗に言う、マッチ・ポンプなんですね。
それだけ、レアル・マドリードの移籍金がUEFAにインパクトを与えたと言うことになります。
I gave the last lecture to people living in the city of Fuchu at the educational center. Seminars were executed on every Saturday in a low. The title of today’s lecture was “WBC vs World Cup Soccer”.
In 1876, the National League was formed under the leadership of William Hulbert, which was the first professional league (pro-league) in the world. Several rules were agreed by participating owners, out of which franchise system and the elimination of players from governing body were important from a standpoint of the pro-league management.
Salary to players and expenses related to players including charges of travels, meals and hotels for them as well as expenses for games and training camp, were necessary costs to maintain and manage clubs. Later, expenses at the office of the commisiioner were also regarded as necessary costs for club owners. In return for taking the full risk in the league, club owners were eligible to receive all revenues after reducing all expenses and costs. This philosophy is still prevailing among owners in MLB and pro-leagues in the USA.
Knowing the above, it is easy to understand why some owners in MLB rejected to release their players to the national team to be played for WBC. Because, owners in MLB have to have the financial risk in the case that players are hurt during WBC, even if they are not allowed to share revenues obtained from WBC. This situation which owners in MLB are facing at WBC is entirely against their philosophy.
On the other hand, European soccer takes different thinking from pro-leagues in the USA.
In 1870, the Football Association (FA) in England had a match with a team of Scotland. They called it as an international match. Then, participating clubs in FA had the responsibility of releasing its belonging players to the national team without any reward to clubs. This system was accepted by everybody due to reasons that FA did not have any player in its organization and the amateurism was dominant. However, the system was continued even after pro-league was created in 1888. Surprisingly, pro-league in England decised to be controlled by FA.
In 1904, FIFA was formed. FA in England joined in FIFA in 1905. It meant that all clubs in England were existed under FIFA and FA regardless of the professional or not. And, releasing of players to international matches had been prevailing to the world. More than 100 years have passed since the system was introduced.
It is not certain that releasing of players without any return to clubs can be maintained under the situations that many clubs are listed at the stock market and the big amount of telecasting right fee are coming in the league and clubs.
Now, owners or financial representative of clubs are seeking much higher revenue and profit. Traditional rules against the benefits to executives in clubs may be changed sooner or later.
テイラー・レポートは、テラス(立見)席を止めて、全部着席にすることを勧告しました。これを受け、イギリス政府は、補助金を計上すると同時に、クラブに対してスタジアムの改修を義務付けました。イギリスでは、スタジアムはクラブが保有しています。クラブの多くは1900年前後に創立されていますので、スタジアムも、当然、老朽化していました。
なぜ、スタジアムが古いままだったのでしょうか?端的に言えば、クラブにはお金がなかったからです。
アメリカでは、テレビの家庭普及と共に、リーグや球団の経営が安定するようになりましたが、イギリスのテレビは公共放送ですから、多額の放送権利料は期待できません。加え、地方自治体によるクラブへの経済支援も許されていませんでした。クラブの収入がチケット販売に依存する構造でしたので、クラブは古くなったスタジアムを改修する資金的余裕がなかったのです。
ところが、テイラー・レポートによって、イングランドのサッカーが世界をリードすることになりますから、世の中は、案外、「万事塞翁が馬」とも言えます。
スタジアム改修費の捻出方法は2つです。チケット代金の値上げと放送権利料の引上げです。チケット代金の方は、スタジアム修理の名目がありますので、比較的容易な言い訳があります。問題は放送権です。
幸いなことに、ヨーロッパの各地で有料衛星放送局が生まれていました。放送権を自由に管理したい有力クラブが、イングランドサッカー協会に脱退を仄めかすなど、新しいリーグ創設に動き出します。そこに、有料放送局が近付いてきました。結局、プレミアリーグが1992年に設立され、テレビ放送も入札の結果、有料衛星放送のBritish Sky Broadcasting(BスカイB)と独占契約を締結することになりました。
イギリスの人々は、それまでなかった、サッカーの生中継を見るためにBスカイBとの契約に殺到しました。BスカイBは翌年の1993年には単年度黒字を達成します。放送権利料が上昇しますので、チケット代金の値上りと相俟って、クラブの経営は潤沢になります。スタジアムが改修され、装いも新たになりますと、男性労働者の溜まり場だったスタジアムに女性や子供も足を運ぶようになりました。また、経済的に余裕のできたクラブは、海外の有力選手獲得にも積極的になります。そうなりますと、質の高い試合が期待できます。益々、ファンがスタジアムに押しかけ、テレビ視聴契約者の数も増加します。この好循環がプレミアリーグを世界一のリーグに引上げました。
今日のプレミアリーグの隆盛は、テイラー・レポートが切っ掛けです。「禍転じて福となす」例です。







