2009年2月の全国高校スキーから始まった、高校スポーツの全国大会でのゼッケン広告が他の競技にも広がりつつある。09年12月の全国高校駅伝に続いて、10年夏の全国高校総体でも8競技でゼッケン広告が導入される。将来はすべての競技で採用される予定だそうだ。
スポーツを教育の一環としてとらえる高校スポーツ界では、これまでアマチュアリズムの名の下に、商業主義的マーケティング手法の採用を排除してきた。だが、スポーツはする人も見る人もお金がかかる。さらに底辺拡大のための普及活動や振興を含む選手強化となると相当大きな金額が必要となる。だから、全国高体連の試みを応援したい。
スポーツのビジネスは、チケット販売から始まり、競技場での物品販売、広告看板(ゼッケンも含む)、テレビ放送、ロゴの商品化、著作権と商標権を組み合わせたスポンサーシップなどが順次加わる形で進化してきた。スポーツ組織や団体の運営・管理の視点で言うと、プロとアマチュアの違いは得た収入の配分システムの相違に尽きる。米国の例が分かりやすい。プロリーグはコミッショナー事務局と球団が稼いだ収入を、利害関係者である球団(経営者)と労働者である選手で分け合う形をとっている。一方、アマチュア組織の場合、収入を得る手法は同じだが、配分となると、選手に給料を分け与える必要がないので、選手が所属する学校や団体に還元したり、選手強化支援はもとより、スポーツそのものの普及や振興に戦略的に費やされることになる。大学がプロ並みのスポーツ施設を誇る理由がここにある。
日本もアメリカに倣い、アマチュア競技でもチケットや広告から収入を得て、スポーツをする人たちのための環境整備に費やすべきではないだろうか。だから、全国高体連はゼッケン広告に留まってはいけないし、野球の高野連は収入増大にもっと積極的であってほしい。たとえば、夏の甲子園。高野連と朝日新聞が公表している第91回大会の収支決算によると、収入はチケット売上の約4億2000万円。総経費約4億500万円を差し引き、約1500万円の剰余金を計上。この利益は野球振興などの補助金に使われている。だが、夏の甲子園は、大会期間中延べ80万人を超える入場者があり、テレビ観戦者の数になると数億人の単位に達するに違いない。まさに国民的イベントだ。だから、スポーツ経営の視点に立てば実にもったいない。
なぜ、チケット売上が唯一の収入項目なのだろう。アマチュアリズム順守とも思えない。なぜなら、チケット販売も商行為だからだ。チケット販売は良いが、広告看板、さらには、スポンサーシップは駄目だという根拠が分からない。高野連もプロリーグ同様権利の現金化に努力すべきである。大いに稼ぎ、そのお金を普及と振興のために大いに散じることを勧める。高野連が収入を上げると、他のスポーツ団体も必ず追随するので、全国高体連に続き、高野連の決断を促したい。
収入に貪欲な米国のアマチュア組織のビジネス部門は、スポーツビジネスの専門家で占められている。彼らはプロ並みに稼ぎ、そのお金は施設充実や選手強化に使われている。バンクーバー・オリンピックにおける日米の獲得メダル数が、日米の現状を象徴的に表している。世界一を争うトップ選手を数多く育てるためにも、また、スポーツ産業の拡大のためにも、アマチュアのスポーツ組織も米国並みに稼ぐ必要がある。
9月14日放送の「Catch the Sports」のゲストは、ミズノの上治専務でした。ミズノが進めるブランド戦略と海外戦略について専務に話をしてもらいました。
近年、日本のスポーツ用品メーカーは海外、特に中国を中心とするアジア地域での販売に力を注いでいます。長い間、ミズノが業界1位でしたが、現在、海外での売上を伸ばしたアシックスが首位に立っています。売上に占める海外売上は、アシックスが50%、ミズノは35%です。
国際化を推進する時、最も重要なことは自社「ブランド」の確立です。コーポレート・ブランドの浸透なしに、プロダクト・ブランドの継続的売上拡大は期待できないからです。
上治さんからあまり踏み込んだ発言はありませんでしたが、「ミズノ」ブランドの世界市場への普及を考えた時、海外他社とのライセンス契約を出来るだけ早く終了するのは、ブランド構築と海外戦略の上では、当然の策です。唯、北京オリンピックでは思惑が外れて、契約選手にミズノ商品を着用してもらえませんでした。スポーツ用品メーカーにとって、オリンピックは商品見本市みたいなものですから、自社商品のPR機会を失ったことは大きな損失です。
とは言え、長期戦略の下では、オリンピックとて一過性のプロモーションの場にすぎません。ミズノが損失を取り戻す機会は十分にあります。
国際化、即ち海外での生産・販売は、スポーツ用品メーカーだけの話ではありません。日本の多くのメーカーが実施している経営戦術です。そこでは「英語力」が不可欠です。スポーツ産業も例外ではないことをミズノやアシックスが示しています。
スポーツ産業で働きたいと思っている学生諸君には、英語の勉強を勧めます。
8月25日、「星野Japan」について本ブログに書きましたが、実は、8月31日(8月29日収録)放送の「Catch the Sports!」で、次のようにコメントしました
星野さんのWBC監督の可能性は、週刊誌や月刊誌などのメディアが発信する総括次第だと予想します。指揮官としての能力を疑うような論評がたくさん出るようだと、星野さんは持病があるだけに、監督就任を要請されてもすんなり受けないかも、知れませんね。
放送から10日が経って、予測を超える結果になりました。週刊誌やテレビが星野さんを酷評していましたし、オリンピックとは関係のない星野さんの「お金や人脈」まで批難の対象にしていましたので、頭に来た様を自分のサイトで何か言ってみたかったのでしょう。相当、怒っていると思います。
唯、今回の書き込みは、星野さんが戦略家ではなく、彼の思考回路は割と単純であることも露呈しました。大方の見方は、星野さん以外に代表監督を務める人はいないと思っていますから、当分の間ダンマリで良かったのです。
監督就任の要請がなければ、謹慎と称して数ヶ月休養を取れば良いし、もし、就任の要請があれば、それこそ、本当の最強軍団を作るべく、球界に全面協力を約束させることもできたはずです。再評価のチャンスが残っていたのに、サイトでの公表は早すぎました。
「沈黙は金なり」とはこのことだったんですかね。
野球をこよなく愛する人々が集う「野球文化学会」の年次総会に出席しました。今年で9回目を数える学会です。私は3年連続で出席しています。
会員は多士済済。多くが執筆を生業とされているため、原稿料が無料にも拘らず、機関誌、「Baseballogy」は400ページを超える分厚い本になっています。
仲間内の本ですから、相当厳しい意見や評論が掲載されます。また、ここまでやるかと思われるほど、細かいデータを駆使して選手を崇め奉る人もいらっしゃいます。だから、総会では、Baseballogyの論集が話題になります。
昨年の日本シリーズ完全試合目前での投手交代を論じ、過激な評論で有名な玉木正之さんから、「私のも過激でしたが、先生は私よりも過激でしたね」と嬉しいコメントを頂きました。
私の論文は、「野球界をリードすべき高野連、その戦略について」と題して、「高野連は大いに稼ぎ、大いに散じなさい」、と言うものでしたので、高野連を良く知る人たちには革命的な論調だったのでしょう。
しかし、日本のスポーツ産業を大きくするためには、プロリーグのみならず、高校や大学レベルのスポーツも大いに稼ぎ、稼いだお金を散じなければなりません。そうしないと、スポーツ経営を学ぶ学生の就職機会が増えないことになります。
「Baseballogy」に投稿した論文を読みたい人は連絡下さい。メールで送付します。
高校野球の特待生問題について、高野連が設置しました特待生問題有識者会議が最終答申で指針を公表しました。15人の有識者の皆さんは意見が異なる人たちでしたので、意見集約は難しかったと思います。ご苦労様でした。
有識者会議の委員が法曹界、私学関係者、スポーツ関係者によって構成されましたので、意見が割れるのは想定の範囲でしたが、「各学年5人以下の特待生容認」のガイドラインにはやや驚きでした。この会議は最初から特待生制度の是認から始まり、他のスポーツが認めている制度をどのように現実的な形で追認するかが焦点だったように見受けられます。
一般的公立高校は特待生の制度はありません。特待生を受け入れるのは私立校です。それだけでも不公平ですが、なぜ私立校は特待生制度の存在容認と存続を望むのでしょう?
表向きは色々ありますが、詰まる所は、甲子園出場や優勝を広告宣伝の一つと考えているからではないでしょうか。現実に、野球部が甲子園に出場すれば、また、出場するだけでなく優勝すれば、その高校の名前が地元のみならず全国に知れ渡ります。受験生の数が増え、学生の質も確実に向上します。今までにそんな例がたくさんあることを多くの人が知っています。
特待生制度はこれまで日陰の存在でしたが、これからは堂々と行うことができますので、私立校は甲子園を広告宣伝の場として活用することが認められたことになります。このことは、これまで奇麗事さえ言っておれば良かった高野連が世俗的な金銭的問題に対しても判断を迫られることになりましたし、プロ野球にも強い立場を取れなくなりました
私は、特待生制度を残すよりも、高野連が主体となった奨学金制度を創設する方が良かったと思っています。私立校は特待生に使う金をスポーツ施設の充実に使って他校との差別化を計るべきです。スポーツ施設の改善は野球部のみならず、全校生が便宜を受けられるからです。特待生によってではなく、立派な施設によって甲子園出場を果す方が、高校受験をする学生にもインパクトが大きいと思うのですが、皆さんはどう考えますか?







