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MLBが北京で3月15日と16日にドジャースとパドレスによるオープン戦をオリンピック会場で行うことを発表しました。いよいよ、MLBの中国進出です。

プロスポーツリーグの海外進出とは何を意味するのでしょうか?
リーグと球団は保有する5つ権利(チケット販売、球場内物品販売、テレビ放送権、マーチャンダイジング、スポンサーシップ)を現金化することで収入を挙げています。5つの権利の内、フランチャイズ制を敷くアメリカのリーグでは、チケット販売と物品販売を、球団が独占的に保護された営業地域で現金化しますので、この分野の海外での現金化は全く期待できません。

MLB球団が海外で試合を行う場合、チケット販売相当額をMLB事務局に補償させます。MLBは海外の主催者に補償額を転嫁しますので、MLBも球団も海外興行で損を出すことはありえません。
MLBの本当の狙いは、5つの権利の内、フランチャイズ地域以外の市場でも現金化される、テレビ・マーチャンダイジング・スポンサーシップの海外市場での現金化、及び、その増収です。MLBがオープン戦を行うことは中国を新たな市場と位置付けたことを意味します。

海外進出は、テレビが著作権、マーチャンダイジングが商標権で守られることが前提になります。また、この2つの法的保護によってスポンサーシップ契約も安心して締結できます。
一方、日本のプロ野球は中国進出もままなりません。権利を一元化していないためです。特に、不完全な商標権保護が足枷になっています。逆の見方をしますと、著作権と商標権で保護されていない環境での試合興行は営業的に全く意味のないものです。そこがアマチュアとプロの違いでもあります。

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MLB選手の2007年の平均年俸が史上最高の282万ドル(約3億円)に達したと報じられていました。3億円は日本では大学卒サラリーマンの平均生涯給料に相当します。

プロスポーツリーグの収入分配システムは他の産業(特に、製造業)と大きく異なります。リーグ・球団・選手の塊が1つの事業体ですが、商品は「試合」です。試合は球場(工場に相当)で生産されますが、一般のメーカーであれば製造前に不可欠な、原料・半製品の購入と開発研究費を必要としません。
また、試合は工員や機械設備に相当する「選手」によって作られますが、試合終了と供に販売も終了です。試合は在庫になりません。したがって、流通、販売促進、広告宣伝の諸経費も必要としません。

以上から判断しても、球団の収支勘定は複雑ではありません。球団の経費は、球団事務所の運営・維持費用、球団役員・事務員の給料の外に、工場関連費用に相当する球場使用料、選手年俸、遠征費などの選手関連費用で構成されます。収入からこれらの経費を差し引いた残りが球団収益です。

現在、MLBの球団は、収入の約60%を選手年俸、10%を選手関連費用にあて、残り30%を球場使用料と人件費を含む球団維持管理費に充てた上で収益を捻出しています。

MLBは観客動員数の4年連続新記録を更新中ですし、大型のテレビ放送権契約も実現しました。1994年以来年率5%の収入増を続けています。潤沢な収入の中から40名の選手に60%が配分された結果が平均3億円ですから、球団は然程の負担にはなっていないようです。

日本のプロ野球選手(外国人選手を除く)の平均年俸が3,550万円ですから、残念ながら、現状では優秀な日本人選手のMLB行きを防ぐ手立ては皆無に近いですね。

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1月9日付けで西武ライオンズ佐藤選手の年俸調停について書きました。彼の調停が実施されますと、1973年のマック・ファーデン(阪神)、1991年の落合博満(中日)、1993年の高木(横浜)、1996年の野村(オリックス)、1998年のソリアーノ(広島)、2001年の下柳(日ハム)に次いで7人目となります。

日本では制度導入以来7人目の調停を行うかどうかで、決着がついていませんが、MLBでは2007年のオフシーズンに、年俸調停を110選手が申請しました。直前の契約合意によって62名が調停を回避しましたので、結局、48名が年俸調停に持ち込んだことになります。

MLBの年俸仲裁公聴会は毎年2月にフロリダかカリフォルニアで開かれます。選手と球団の双方が希望金額を提示し、その根拠となるデータを提出します。データとは、当該選手と力量が「同等」と見なすことができる選手の年俸です。同じ力量の他の選手の年俸を基に、希望金額の正当性を主張する仕組みになっています。
仲裁人は調停も譲歩もしません。提示されたデータに従い、選手か球団かいずれかの主張を「是」とするのみです。しかも、24時間以内に決定し、双方の当事者を拘束します。したがって、希望額を不当に上げる欲の深い選手や、故意に低い額を提示するけちな球団は、年俸調停では負ける確率が高いようです。

このような仕組みですから、MLBでは年俸調停が日常化していますし、極めて事務的に処理されます。また、選手年俸が「同等」の力を持つ選手同士の金額で調整されることになりますので、1人が高くなりますと、年俸調停でなくて普段の年俸交渉でも、その高い金額に他の選手も収斂することになります。なぜなら、球団が年俸調停で勝てない有力な証拠を選手が握ったことになるからです。このからくりがMLBの選手年俸を引上げる要因にもなっています。

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ミッチェル・レポート公表後、スポーツ界と議会が薬物問題に力を入れ始めたようです。

アメリカオリンピック委員会(USOC)とプロリーグが薬物対策のための独立組織を設立すると発表しました。それによりますと、USOCとMLBとNFLがそれぞれ300万ドル、加え、アメリカ反ドーピング機構(USADA)が100万ドルの、合計1,000万ドルが出資され、これにNBA、NHL、PGAも参加して、アメリカではスポーツ界全体で薬物撲滅に取り組むことになりました。

一方、議会では公聴会が開かれ、バド・セリグMLBコミッショナーやドナルド・フェア選手会専務理事が証言しました。これまで、MLBは世界反ドーピング機構(WADA)から薬物対策に消極的と批難されっぱなしでしたが、公聴会でコミッショナーと選手会双方が薬物対策が遅れたことを認めましたので、これで、薬物対策の強化が一気に加速するでしょう。

また、アストロズのミゲル・テハダ選手が2005年当時の同僚、ラファエル・パルメイロの調査に対して「うそ」を言った疑いで、委員会が司法省にテハダ選手の偽証罪捜査を要請したことも明らかにしました。

ミッチェル・レポートの波紋はこれからも広がりそうです。

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レポートの公表から3週間が経ちました。レポートに載った選手の反応は2つに分かれました。1つ目のグループは容認、2つ目のグループは否認です。ところが、面白いことに、否認している選手たちが誰1人としてミッチェル氏を裁判所に訴えていません。アメリカは訴訟の国です。否認している選手が「事実無根、名誉を著しく傷つけられた」と裁判沙汰にすると予想しましたが、予想が外れました。

例外はロジャー・クレメンスです。彼は、証言した元トレーナーを提訴しました。しかし、彼もミッチェル氏を訴えていませんので、結局、これまでの所、ミッチェル・レポートに記載された選手はレポート内容を暗黙の内に認めたことになると言えるでしょう。

「反ドーピング」と言えば、世界反ドーピング機構(WADA)のディック・パウンド委員長が昨年12月31日に退任しました。1999年のWADA設立時に就任し、反ドーピングを世界規模で推進した立役者でした。彼の尽力で、シドニー・オリンピックからオリンピックの放送権利料の1.9%(2,500万ドル)がWADAの運営・活動費に配分され始めました。この配分はアテネ、北京と続きます。

アマチュア時代に経済的に苦しかったオリンピックですが、脱アマチュア以降は大会にも選手にも大きな金額がまつわり付くことになりました。特に選手は「優勝の栄冠」は大金を手にすることにもなりますので、選手のみならず周りが「ドーピング」の誘惑に駆られがちです。だからこそ、IOCとWADAは反ドーピングに最も力を注いでいるのです。
MLBが、今、ドーピングに対して自己改革を迫られていることは間違いないことですし、やがて、日本のプロ野球やJリーグにも波及してくるでしょう。

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