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対岸の火事とバリー・ボンズの禁止薬物疑惑を眺めていましたら、足元の日本のプロ野球で、「ぼや」ではなく消防車が出動することになってしまいました。ドーピング検査の結果、ソフトバンクのガトームソン選手から陽性反応がでたのです。

スポーツの世界に商業主義が浸透し、勝利が最優先されるようになりましたので、「公平」な勝負を保つために、IOCが中心になって反ドーピング(薬物の使用禁止)が強化されるようになりました。強化策の一環としてWADA(世界反ドーピング機構)が設立され、2000年のシドニー・オリンピックから収入の一部(1.9%)がWADAの活動費に廻されるようになって、ドーピングに対する監視が一層厳しくなりました。

所が、MLBや日本のプロ野球は反ドーピングの動きに緩慢でした。個人で勝負に臨むオリンピックと異なり、野球界は9人で試合をするリーグ戦です。しかも、個人よりもチームの成績が優先されますので、ドーピングに対して鈍感なのはある程度同情できます。加え、低迷するMLBをマグワイアとソーサのホームラン競争が救った経緯もあります。また、強力な労働組合であるMLB選手会が自分たちに不利なドーピング検査に協力的になるとも思えません。ボンズの疑惑にもMLB自ら乗り出すことはしていません。MLBはボンズ問題に第三者的立場を堅持しています。これがMLBの反ドーピングに対する姿勢のようです。昨年のWorld Baseball ClassicでWADAからドーピング検査が手緩いと批難を受けていますが、本質的には変っていないのです。

問題は日本のプロ野球です。今回ガトームソン選手に陽性反応が出たのはファナステリドです。筋肉増強剤などの服用の痕跡を消す隠蔽薬でした。ガトームソン選手は発毛剤としてフィナステリドを服用していることを球団側に報告していましたので、球団に対する処分が厳しくでました。
しかし、腑に落ちない点もあります。ガトームソン選手はフィナステリドが禁止薬物と知りながら発毛剤として球団に報告していたのでしょうか。球団に報告しても何時かはドーピング検査で見つかります。検査はいい加減と高を括っていたのでしょうか。それとも、フィナステリドが禁止薬物であることをガトームソン選手も球団も知らなかったのでしょうか。そうであれば、両者ともプロとは到底言えません。
NPBは処分を下すだけではなく、反ドーピング啓蒙運動の先頭に立つべきと考えます。

 

 

 

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