プロスポーツリーグや大学スポーツ組織は、テレビ放送や商品化などの権利を保有する。放送権を買ったテレビ局は、放送権利料に番組制作費とテレビ局の電波料を上乗せしたCMタイムを番組スポンサーに販売する。また、商品化では、通常、ロイヤルティは卸売価格(小売価格の60%程度)の6%で設定されるので、小売店でNYヤンキースの帽子を野球ファンが1000円で購入した場合、ライセンシーである野球帽子メーカーからライセンサーであるMLBに36円が支払われる。日常的に、スポーツ団体や組織は、選手や職員に給料、スタジアムなどの施設に使用料、弁護士や弁理士事務所に法的サービス料、等を支払う一方、球団から給料をもらった選手は代理人に手数料を支払っている。
このように、権利を保有するスポーツ団体や組織は、多くの種類の産業や企業と取引をしており、米国スポーツ専門誌の統計によると、2001年に4大プロリーグ、マイナーリーグ、その他プロスポーツ、大学が稼いだ収入の合計は約318億ドル(約2兆9000億円)、同年のスポーツ関連消費総額は1,946億ドル(約18兆円)だった。このことから、スポーツ産業全体の経済規模は、権利保有団体・組織が稼ぐ収入の6~7倍であることが推察できる。
2001年当時の売上が35億5000万ドルだったMLBは、2008年には65億ドルに、NFLは同年比較で40億ドルから80億ドルに伸ばしているので、おそらく、米国のスポーツ産業は現在、30兆円に近い規模に達していると推測する。
米国の手法を日本に適用すると、権利を保有するスポーツ団体(プロ野球、Jリーグ、bjリーグ、その他)の総収入は約2000億円。それを6~7倍するとスポーツ産業の規模は約1兆3000億円程度とみなすことができる。だが、日米のGDP(国内総生産)比較を加味すると、日本のスポーツ産業が13~15兆円規模で米国の肩に並ぶことになる。やり方次第で10倍の成長が期待できる。米国に比べ、日本のスポーツ産業はなぜ小規模なのか。その理由を3つ挙げる。
1つ目は、リーグと球団数が少ないために、リーグと球団の総収入が小さい。
2つ目は、米国の大学が4大プロリーグの売上合計と同じ程度の収入を得るのに対し、日本の大学の収入は極めて少ない。
3つ目は、権利の現金化に精通した「スポーツ経営(Sports Management)」の専門家が少ないーことだ。
米国の大学スポーツ組織はスポーツ経営のプロが管理している。昨年6月には、WTA(世界女子テニス)ツアーの最高経営責任者が、PAC-10(UCLAやスタンフォード大学など、アリゾナ州・カリフォルニア州・オレゴン州・ワシントン州の10大学で構成)のコミッショナーに就任した。
アマチュアのスポーツ組織であっても、組織の管理者はプロなのだ。だから、米国では、プロ・アマを問わず、スポーツ団体や組織にスポーツ経営を学んだ人材が膨大な数就職し、スポーツ経営を教える大学(UniversityとCollege)が200以上存在する。
日本の大学も、ビジネスの機会がないわけではない。2日にわたり、120キロの沿道を人々が埋め尽くす箱根駅伝、国立競技場に5万に近い観客を引き付ける大学ラグビーなどは、豊富な金脈があるのに掘る量が少ない。サッカーや野球も、物足りない。スポーツ経営の専門家が組織に入り、得た収入を大学施設に還元する仕組みを作り上げると、スポーツ産業が必ず活性・拡大する。
大学卒業生の就職氷河期が続くが、プロスポーツリーグが収入を増やし、周辺産業や企業をもっと潤わし、大学のスポーツ組織が「商業」に目覚めてくれたら、日本のスポーツ産業が拡大する。そうなれば、産業の成長に比例する形で大学卒業生を吸収することができるのに、と思わざるをえない。
投稿者:大坪正則 | 23:53








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