日本プロ野球組織(NPB)と日本プロ野球選手会(選手会)が、フリーエージェント(FA)の取得年数を現行の9年から8年に短縮し、昨年のドラフト以降に入団した大学・社会人は7年にすることに合意しました。FA移籍補償金も減額されることになりましたが、海外移籍は9年が継続されます。
FA短縮は選手にとって喜ばしいことです。しかし、FAは球団経営に直接影響を及ぼす制度ですし、他の制度との整合性も求められるために、手放しで喜べない面もあります。
FA導入はMajor League Baseball (MLB)の1976年シーズンからです。その時、MLBの選手平均年俸は約5万ドルでした。それから32年後の、2008年シーズン開幕時の平均年俸は315万ドルです。実に、32年で60倍を超えています。
従業員の平均年俸が基点とする年から2年毎に倍になれば、普通の企業は途中で倒産です。もちろん、倒産の前に給与調整が行われます。だから、よくも60倍になってもMLBが倒産しないものだと不思議です。
MLBの選手年俸上昇は、当時の選手会委員長のMarvin Miller(マービン・ミラー)のお陰です。彼は、FAの権利取得までに4~6年を置き、数少ない実力のある選手を移籍市場に出せば、球団が選手獲得を競い合うと判断しました。MLBの労使交渉の結果、FA取得年数が6年と決り、選手年俸の上昇も彼の読みの通りとなりました。
但し、年俸の急騰は彼の予想を遥かに超えるものでした。その原因を彼は資格認定のない代理人制度と考えていました。
MLBが経験したFA制度と選手年俸高騰が良く似た形でNPBと選手会との間で起るとは到底思えません。なぜなら、NPBには潤沢な収入がありません。代理人制度も代理人そのものが存在できないような仕組みだからです。しかし、NPBの諸制度が現行のまま継続するとも思えません。
FA市場を活発化するために、FA短縮と共に移籍補償金の減額も決りましたので、力のある選手が強く望めば、ポスティング制度を利用して選手をMLBに送り出す球団が増える可能性が出てきました。NPBに属する選手の平均年俸が約3,600万円ですから、MLBの9分の1です。高い年俸が魅力的でないはずがありません。
選手はMLBに早く行きたいと考えますし、球団はどうせ選手が出て行くならば高い補償金を取りたいと考えるのは自然の流れです。FAの短縮はポスティング制度を活発化させるだけかも知れません。
何はともあれ、NPB全体の収入増と球団間の収入と支出の均等化がよりFA市場を活発化させることになるのですが、果たして、そうなるでしょうか?それとも、黒船(MLB)襲来を待つべきでしょうか?
投稿者:大坪正則 | 0:17








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